「交通事故で親友が20代で他界...」現実を受け止められなかった私を変えた「恩師の言葉」

<この体験記を書いた人>

ペンネーム:gaspal
性別:女性
年齢:41
プロフィール:夫(51歳)、私(41歳)、小学生の息子の3人暮らし。共働き家庭です。

「交通事故で親友が20代で他界...」現実を受け止められなかった私を変えた「恩師の言葉」 20.jpg

20年前、私が大学生の頃の話です。

大学入学と同時に、同級生の女子1人と仲良くなりました。

私は人見知りだったので、最初はあいさつを交わす程度だったのですが、同じ資格試験を目指していることを知り、それをきっかけに距離も縮まりました。

優しく、常に笑いの絶えない明るさをもつ前向きな彼女と、どちらかというと心配性で落ち込みやすい私。

なぜか馬が合って、とても親しくなりました。

毎日、大学の講義後に学内の自習室で予習復習や資格試験の勉強をしました。

勉強の合間にはおしゃべり、お互いの相談事もです。

ランチライムも一緒に学食へ行き、周りからも「カップルみたい。本当に仲良しコンビだね!」と言われるほどの親友になりました。

それまで友だちを作るのが苦手だった私ですが、彼女とは本当に気が合ったのです。

そんな日々がまさか突然失われるなんて...考えたこともありませんでした。

大学2年の夏休み、夜、彼女がアルバイト先から帰宅途中に、信号無視をしたトラックにはねられる痛ましい事故にあったのです。

ブレーキ痕もなく即死だったそうです。

連絡を受けてお通夜とお葬式に参列したのですが、「彼女が亡くなってしまった」という実感がわきませんでした。

その後、夏休みが終わり、いつも2人で行っていた自習室に向かいました。

もちろん、彼女が来ることはなく「本当に死んじゃったんだ」とそこで実感したのです。

私は睡眠や食事がまともに取れなくなりました。

「〇〇(私)は本当に仲良かったものね」

「若いのに可哀想だけど、いつまでも落ち込んでいても仕方がないよ」

彼女を知る友人たちが心配して言葉をかけてくれるのですが、なぜかモヤモヤするばかり。

そんなとき、たまたま大学構内で、彼女と私が一緒に履修していた授業の教授に会ったのです。

「たとえ外国にいたり遠方にいたりしても、『会える可能性がある』のと『二度と会える可能性がなくなる』のとは全く違うよね」

先生は静かに優しくおっしゃいました。

私は先生の言葉を聞いて「私の気持ちはそれだ。二度と会える可能性がないのがつらいんだ」と分かり、彼女の死後、初めて一晩中泣きました。

その後、その言葉をおっしゃった先生も、過去にご自身の家族を不慮の事故で亡くされていたことを他の人から聞いて知りました。

いつも明るく、授業もユーモアに富んでいて、学生からも人気のある先生だったので、その言葉は強く心に残りました。

「人生で何があるか分からないし、人それぞれ抱えているものがあるんだ」

そう強く思いました。

あれから20年、今の私には夫と小学生の息子がいますが、毎日「いってらっしゃい」「おかえりなさい」と言えることに感謝しています。

そして彼女の命日には毎年、交通事故現場に花を供えています。

先生の言葉はずっと私の心の奥底にありますし、これからも私の人生の道標としてずっと残っていくと思います。

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