【誤解】「見どころのある息子さんですね」と警官。バットと鍋の蓋で武装した中2息子の武勇伝(?)

<この体験記を書いた人>

ペンネーム:ウジさん
性別:男性
年齢:60
プロフィール:現在25歳の長男は、サバイバルゲームにハマっている戦い好きな男です。その片鱗は子どもの頃からありました。

【誤解】「見どころのある息子さんですね」と警官。バットと鍋の蓋で武装した中2息子の武勇伝(?) 16.jpg

長男(25歳)はサバイバルゲームにハマっており、今は実家を離れて暮らしていますが、我が家の息子の部屋はさしずめ前線基地のように武器で埋まっています。

集めに集めたグッズが収まりきらず、我が家はまるで武器の倉庫です。

その息子が中2でしたから、12年ほど前の夏休みの話です。

その日、私は当時勤めていた教育委員会の仕事で、自宅近くの小学校(子どもたちの母校です)に出向いていました。

「ちょうど昼どきだな...役場に戻るより我が家で昼を済ませていくか」

いつもは役場近くの食堂で済ますのが常でしたが、家に戻ればそうめんくらいはすぐに食べられます。

「...歩いて行くか、大した距離じゃないからな」

その日は公用車で動いており、距離を報告しなければなりません。

家までの往復は2キロメートルほどになりますから、どこか寄り道したことが分かり、報告書も面倒になります。

天気も良かったので、公用車は学校に停めたままにして、散歩代わりに歩いて帰宅しました。

「ふう、うまかった、暑い日はそうめんに限るな」

食べ終わってくつろいでいると、不意にもよおしてきて、片付けもそこそこにトイレにこもりました。

私はトイレや風呂などで一人になると、大好きなスパイ映画のシーンなどを思い出して独り言で演じる癖があります。

「そいつはまずいな...いっそ片付けてしまうか」

その日は家で一人きりですから、いつも以上に気分が乗って、知らず知らずのうちに熱演していたようでした。

用を済まし、演技も満喫して、スッキリした気分でドアを開けました。

そこになんとも異様な姿の少年が立っていました。

通学用のヘルメットをかぶり、そうめんを茹でた鍋の蓋を片手に構え、もう片方の手にバットを握りしめていたのは、紛うことなく我が息子でした。

「...何だあ、パパさん(息子は私のことをこう呼びます)かあ、脅かさないでよぉ...」

部活を終えて帰宅した息子は、異様な家の様子に身構えたということでした。

「(通勤用の)車は戻ってないのに鍵は開いてるし、台所は荒らされてるし、トイレからは、始末してやる、みたいな声が聞こえてくるし、もうてっきり...」

どうやら息子は不法な侵入者を想像し、立ち向かうつもりだったようです。

「いやあ、それは悪かった...誰か帰ってくるとは思わなかったからなあ...」

すっかり拍子抜けした息子に頭を下げながら事情を説明していると、玄関から声が聞こえてきました。

「誰かいますか? 通報があったので伺ったのですが...」

通報? と思いながら玄関に行くと、おまわりさんが立っていました。

すると頭をかきながら息子が...。

「いや、だってさ...すっかり泥棒だと思ったから...」

息子は110番通報までしていたのです。

平謝りで事情を説明して、事なきを得ました。

「何事もなくて何よりでした。...なかなか見どころのある息子さんですね」

おまわりさんからお褒めとも、皮肉ともつかぬ言葉をかけられ、ひたすら恐縮していました。

少々頼りないところがあると思っていたのですが、思ったよりも気骨のあるところが見えた気がしました。

まあ、今のサバゲーマニアの様子を見ると、その頃からそういう荒事が嫌いではなかったのかもしれませんね。

二度と見れない息子の勇姿(?)は、しばらくの間、我が家の語り草となりました。

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