<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ウジさん
性別:男性
年齢:60
プロフィール:自分の仕事は必要不可欠と思っているわけなので、悪気はなくとも大したものじゃないと言われるのはショックです。
私の勤める町役場は、小さな町ですので異動はそう頻繁ではありません。
現在、勤めている広報課(この春から再任用の身ですが)に異動したのは50代になってすぐ、10年ほど前のことでした。
異動直後、7月頃のことです。
50を過ぎてからの異動とはいえ、広報課は初めての業務ばかりですので、先輩職員に教えてもらうことになります。
少し年下(当時40代後半)の先輩Aさんが教えてくれることになり、いろいろ相談していました。
「ウジさん、一つコラム記事を書いてみるか? Aくんと相談しながらな」
課長(当時50代後半)に言われて初めて記事を任されたときのことです。
町の和菓子店が特産のたけのこを使ったまんじゅうを開発したということで、取材することになりました。
ちなみにこのまんじゅう、あまり評判は振るわず、今はもう販売されていません。
「やはり、お店の方からしっかり話を聞いたほうがいいです。製造工程も写真があると分かりやすくなります」
Aさんからそんな助言も受けて、取材に出向きました。
お店へのインタビューや製造工程の撮影など、1日がかりでなんとかやりこなしました。
初めて1人で任された記事なので、何度か推敲を重ねながらレイアウトなども工夫して記事にまとめるのに数日かかりました。
今になって思えば、コラム記事にしては時間がかかりすぎていますが、慣れていないことも多かったので...。
「...初めてにしてはいい感じですよ。ウジさん」
Aさんに褒めてもらい、まずまずの達成感を味わっていました。
ところが、ちょっと問題が起きました。
町の高校の野球部が夏の大会でいいところまで進出したのです。
結果的にはベスト8までで、後にも先にもこのときだけでしたが、当時はやはり盛り上がりました。
問題は、コラム記事の1つがこの話題と差し替えられることになったのです。
コラム記事は4つあったのですが、私の記事ももちろん槍玉に上がりました。
「ウジさんの最初の担当記事だからなあ...」
緊急の編集会議で課長は申し訳なさそうに発言しました。
私なりに力を入れた記事ですから、日の目を見ないのは残念です。
しかし、高校球児の努力に報いたい気持ちもあります。
他のコラム記事を削るべきだ、と発言するのも新参者としてははばかられました。
「いいんじゃないでしょうか。試しに書いてもらった記事ですし、不可欠な内容でもありませんし...」
耳を疑いました。
こう進言したのはAさんです。
試し? 不可欠ではない? わざわざお店にまで出向いて話を聞き、製造工程も丁寧に取材して、推敲を重ねて数日かけて仕上げた記事です。
Aさん自身も褒めてくれていたのに...。
なんだか騙し討ちされたようで、背後から味方に撃たれた気分です。
「Aくんもそう言うなら...すまんな、ウジさん。なに、記事を書くチャンスはこれから山ほどあるんだから...」
慰めともつかない言葉をかける課長の言葉をぼんやりと聞きながら、Aさんのほうを見ていました。
特に悪びれる様子もないAさんが腹立たしかったのを覚えています。
全幅の信頼を置いていただけに衝撃的でした。
その後、Aさんとは上手くいかなくなり、何かあっても別の人に相談するようにしました。
しばらくしてAさんは異動になり、広報課を去りました。
いまだに役場内ですれ違っても挨拶さえしない関係のままです。
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