【58歳で初就職】引きこもりだった弟がようやく仕事を...彼の心を変えた「小さなきっかけ」

<この体験記を書いた人>

ペンネーム:yumekafu
性別:女性
年齢:64
プロフィール:両親の介護のため、公務員の仕事を途中退職し、現在カウンセリング&ヒーリングの仕事を楽しんでいます。

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弟(現在62歳)は、17歳のとき高校生活になじめず中途退学してしまいました。

その頃から人目を気にして外に出なくなり、引きこもりがちになり、家の中でも母(当時53歳)以外の人とは顔を合わせようとしませんでした。

その弟が外に出るようになったのは、39歳のときのある出来事がきっかけです。

ある日、弟が突然家を出て2日も連絡が取れなくなり心配していると、3日目の夕方、警察に伴われてぐったりした様子で帰ってきました。

母(当時75歳)と私(当時41歳)が涙を流して喜んでいると、弟が言いました。「僕がどうなっても別にいいし、心配しなくていいよ」

心配していた2人にそんなこと言うのか、と腹が立った私は弟を怒鳴りつけました。

「あなたに何かあって心配ないわけないでしょう!」

弟は黙っていましたが、それからは私と少しずつ話をするようになりました。

しばらくして、私が育休から職場復帰することになったとき、弟が娘(当時1歳)の保育園の送迎を引き受けてくれたのです。

私は「大丈夫かな」と半信半疑でしたが、弟はその時間を楽しんでいたようで、3年間も続けてくれました。

それからは、母の買い物や用事、通院の送迎もするようになり、外に出ることが増えていきました。

弟が家族以外の人と話ができるようになったのが49歳のときです。

その頃、弟は不眠に悩んでいて、病院で睡眠導入剤を処方してもらっていました。

ある日の午後、母(当時85歳)から「弟がまだ寝ているの、おかしいよ」という電話があり、弟の部屋の前で声をかけドアを叩きましたが反応がありません。

急いで救急車を呼んで開けてもらうと、弟が椅子に掛けたままぐったりしていました。

そのまま救急搬送され、話せるようになったのは3日後でした。

弟は眠れなくて薬を多めに飲んだそうです。

その後、治療とリハビリのために半年間入院したのですが、その間、毎日医者や看護師の熱心な治療を受け、温かい言葉をたくさんかけてもらい、弟は人の優しさを身に染みて感じたようでした。

それからは、看護師さんや同じ入院患者と話をするようになり、弟の顔も穏やかになっていきました。

そんな弟が仕事を探すようになったのが54歳のときです。

もう90歳になっていた両親の介護のため、弟と両親が住んでいる実家に、ヘルパーさんが頻繁に来るようになりました。

当然、弟とヘルパーさんが顔を合わせることが増えて、話もするようになりました。

ある日、部屋で歌っている弟の声を聞いたヘルパーさんに「歌が上手ね。カラオケで歌ったらいいのに」と勧められ、近くのスナックで歌うようになりました。

店の人やお客さんにも歌を褒めてもらい、カラオケ仲間もできました。

弟はその頃から仕事のことを考えるようになりました。

「もっと好きなことややりたいことを楽しみたい。そのためにはお金が必要だ」

そう実感した弟は、それから自分にもできることはないかと仕事を探し、58歳で初めて仕事に就いたのです。

三味線の部品作成の仕事で、仕事仲間もできて頑張って続けています。

弟が仕事をするなんて、10年前には考えられないことでした。

人っていくつになっても成長できるんですね。

「弟は弟のスピードで前に進んでいるんだ。それでいいんだ!」と、今素直にそう思えます。

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