<この体験記を書いた人>
ペンネーム:晴れのち曇り
性別:女性
年齢:65
プロフィール:78歳の夫と2人暮らしの会社員です。
20年ほど前、当時高校生だった娘と静岡へ出かけたときのことです。
最初は知人を1人で訪問する予定でしたが、不慣れな道の上に遠方なので不安になり、試験休みだった娘に同行をお願いしました。
快く引き受けてくれた娘との車中の会話は、普段にも増して楽しいものでした。
無事に知人と会い、2時間ほど会話が弾みましたが、明るいうちに帰ろうと早めに友人宅を出発。
同行を快諾してくれた娘に、帰る途中で洋服を買う約束をしていたので、高速代を浮かせようと一般道を使うことにしました。
しかし、しばらく走るうちに、どこで間違ったのか変な道に迷い込んでしまいました。
早めに友人宅を出たはずなのに、走れど走れど家に帰るどころか見知らぬ山中に入り込んでいき...。
周囲は暗闇に包まれ、ついにナビの画面から道が途切れてしまいました。
それでも止まっているわけにもいかず、車を進めることに。
すると、一軒の民家の灯りが見えました。
このまま迷っていてもらちがあきません。
道を教えてもらおうと民家のインターホンを押しました。
しばらくすると、白髪交じりの年配の女性が、不審げな顔をドアの隙間から覗かせました。
まじまじとお互いの顔を見た後、「え?」と同時に声が出ました。
玄関から出てきたのは、そのときからさかのぼること数年前、祖母の家で顔を合わせた母の妹で当時70代の叔母でした。
こんな偶然ってあるの!?と驚きました。
母方の弟妹は9人いて、彼女が遠方に住んでいることは知っていましたが、訪問したことも詳しい住所を聞いたこともなかったのに!
叔母は突然の訪問者に「〇〇ちゃんどうしたの? こんな時間に、お姉さんに何かあったの?」と不安げに聞いてきました。
私が苦笑いしながら事情を説明すると、叔母はお腹を抱えて笑い出します。
「まあ、上がって行きなさい。よかったら泊っていけばいいよ」と優しく言ってくれて、ほっとしました。
叔母の家の住所を教えてもらうと、なんと我が家を通り越すこと1時間ほど。
民家もまばらな集落にたどり着いていたことが分かりました。
自宅では夫と中学生の息子がお腹を空かせて待っていたので、好意は丁寧に辞退して叔母の家を後にしました。
それからまもなく叔母の訃報を聞くことになろうとは、そのときは思いもしませんでした。
もしかしたら、叔母が最後に会うために呼んだのかもしれないな、なんて勝手に考えています。
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