<この体験記を書いた人>
ペンネーム:トリコ
性別:女性
年齢:49
プロフィール:自営業の夫と大学生の息子がいる49歳の兼業主婦。仕事と家事に追われる日々です。
私は分譲マンションに住んでいます。
お隣に住む小野さん(仮名)の奥さんとは同年代のうえ、お互いの子どもの年齢も近かったため、顔を合わせれば学校行事や大学受験の情報を交換するなど、20年近く良いお付き合いを続けてきました。
その小野さんとの関係が気まずくなったのは、コロナ禍となる少し前、2019年夏の出来事がきっかけでした。
その頃、私(当時46歳)はパートを辞めて2か月ほどのんびり過ごしていました。
そろそろ家でじっとしているのも退屈に思っていた矢先、近所のスーパーでばったり小野さんに会いました。
なんだか元気がない様子の小野さん。
どうやら2人の娘さんが遠く離れた他県の大学に進学してしまい、夫婦2人きりの生活に張り合いが持てないとのことでした。
ずっと専業主婦だった小野さんは、マンションの住人以外に友人もいないとのこと。
それでつい「寂しくなったらいつでも遊びに来てよ。私も今、ちょうど働いていなくて暇だから」と声をかけてしまいました。
気落ちしている小野さんを励ましたい気持ちと社交辞令が半々でしたが、安易に誘ったのが間違いでした。
翌日、午前中の家事をひと通り終えた頃、来客を告げるインターホンが鳴りました。
「小野です。お言葉に甘えて遊びに来ちゃいました」
本当に来たんだ...と思いましたが、社交辞令のつもりとはいえ誘ったのも、私自身が暇だったのも事実です。
断る理由もなかったので家に上がってもらいました。
突然の訪問に戸惑いましたが、パートを辞め、家族以外の人と話す機会のなかった私は、会話をする相手に飢えていたようです。
お互いの夫の愚痴や子どもの大学のことからご近所の噂話に至るまで、気がつけば3時間近く話しこんでしまいました。
「長居しちゃってごめんね」と謝る小野さんを見送り、こういう時間もたまには良いなと思いました。
翌日の10時頃、またしてもインターホンが鳴りました。
まさか...と思いましたが案の定、扉の向こうには小野さんが立っていました。
「え、2日連続!?」と驚きはしたものの、特に用事はなかったので、再び家に上がってもらいおしゃべりすることに。
しかし、前日のように会話は盛り上がらず、小野さんも1時間ほどで帰りました。
週末を挟んだ月曜日、またしても小野さんが訪れました。
先週のお礼にと手作りクッキーを持参して。
「どうぞ上がって」と言ったものの、私の顔は引きつっていたと思います。
しかも前の週に2日連続で話したため、会話のネタも残っていません。
間を持たせるべく、「クッキーおいしいね」と言うと、「じゃあ、また明日も焼いて持ってくる」と言うではありませんか。
確かに小野さんは仲の良いご近所さんですが、それまでトラブルがなかったのは付かず離れずの関係を続けてきたからです。
隣人との距離が縮まり過ぎることにストレスを感じた私は、「明日は夫の実家に呼ばれていて都合が悪い」ととっさに嘘をつきました。
ただ、そう言った手前、家にいるのも嘘がバレる気がして、翌日は用事もないのに朝から隣町まで車で出かけ、ショッピングセンターや喫茶店で時間を潰しました。
その後も小野さんは平日の昼間に何度かやってきましたが、居留守を使ってやり過ごしました。
小野さんもさすがに避けられていることに気づいたらしく、我が家を訪問することはなくなりました。
ただ、私のほうは安易に誘っておいて居留守を使った後ろめたさがあり、小野さんに会うと今でも気まずいです。
もしコロナ禍だったら「感染が心配だから」と言って、もう少しスマートに訪問を断ることができたかもしれません。
不謹慎ながら、そんなふうに考える今日この頃です。
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