【ずさんな塾】ロクに授業をしなかった塾長。「葬式が」「交通事故で」「泥棒が入った」雑な嘘に唖然

<この体験記を書いた人>

ペンネーム:ころちゃん
性別:男性
年齢:54
プロフィール:早くコロナや戦争が収束して落ち着いた生活を送りたいです。

【ずさんな塾】ロクに授業をしなかった塾長。「葬式が」「交通事故で」「泥棒が入った」雑な嘘に唖然 43.jpg

10年ほど前に短期間勤めていた学習塾での話です。

当時大病を患い病み上がりだった私は、運よく知り合いのつてで個人経営の塾での仕事を得ることができました。

不安はありましたが、職務経験もある業種で働けることにほっとしました。

50歳の塾長は威勢がよく、生徒やその保護者を圧倒するような、ある種の威厳がありました。

そういう所に惹かれる人たちが集まり、塾を構成していたので、雰囲気は昔風の軍隊といった感じです。

しかし塾長には、大らかを通り越して非常に粗雑でだらしない所がありました。

控室はごみ溜めで、テスト結果など生徒に関する情報もあちこちに散らばっており、お世辞にも管理が行き届いているとは言えません。

また、彼はアル中気味でスナック通いがやめられず、溜まった支払いを取り立てるために、スナックの方が授業中に押しかけることも頻繁にありました。

これだけでも十分に困った人ですが、私にとって実務上困ったのは塾長の欠勤です。

以前は学生バイトしかいなかったため、やむなく自分で日々の運営をしていたようです。

ところが、私の入社後は鍵の開け閉めを含め、自分の授業を除いた一切を私に任せるようになりました。

これは日に日にひどくなり、ついには自分の授業時間になっても姿を見せなくなったのです。

生徒たちをほっておくわけにもいかず、私はその度に塾長に電話しましたが、いつも、しょうもない言い訳をしてきました。

「すまん、今銀行に来とってな」

「すまん、今日は親戚の葬式があってな」

「すまん、ちょっと泥棒に入られてな」

「すまん、交通事故に遭ってな」

種々雑多な言い訳があり、よくもそれだけ毎日のようにアクシデントがあるものだと呆れました。

さらに、そんな際は決まって言うことがあります。

「適当にプリントを配って自習させてくれ」

私はその指示に従うしかありません。

ちなみにそこで生徒たちに自習させたプリントは、回収された後、ごみ箱の中に折れ曲がって詰め込まれていました。

そんないい加減なドタキャンが重なると、いちいち電話するのも嫌味に感じられ、私は塾長が来なくてもプリントを配布し、勝手に自習の指示を出すようになりました。

自分が来ないのに連絡さえしてもらえないというのはさすがに屈辱だったようで、塾長は遅れて来ても私と目を合わせないようにしていました。

ある日、保護者懇談のため私は午前中から塾を開けていました。

ところが、塾長とアポをとっていた保護者が来ても塾長はいつものように姿を見せません。

さすがに代わりを務めるわけにもいかず、私は塾長に電話をしました。

「すまん、今知り合いの通夜に来とってな。とりあえず相手して、後で俺から電話すると伝えてくれ」

本来このとき気付くべきでしたが、そもそも塾長の言い訳などろくに聞かない習慣になっていたため、私は黙って指示に従いました。

そして丁度懇談が終わった頃、塾長から電話がありました。

「あ、そう言えば、通夜は夜やったな。あ、あの、実は今銀行に用があったんや」

私は一瞬沈黙した後、事態を理解して吹き出しました。

朝のドタキャンの理由を「通夜」と言ったことに、自分で気付いたのでしょう。

それで律儀に代わりの言い訳を電話してきたのです。

普段からどうせ全部嘘だと思っていましたが、まんまとそれを証明した一件でした。

程なくして、学生バイトまで巻き込んだ給与未払い問題が大きくなり、この塾は崩壊しました。

今でもたまに、塾長が好き勝手やり放題の怪しい個人塾があるようです。

保護者の皆様には、変なカリスマ性にだまされず、罪のない子どもたちの塾選びに注意していただきたいです。

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