<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ウジさん
性別:男性
年齢:60
プロフィール:テレワークもかなり一般的になってきましたが、私が住む田舎町ではまだ珍しい部類です。
2021年の5月頃の話です。
当時は東京近辺で非常事態宣言が出されていて、関東圏の中学校に勤めている娘(27歳)は帰省もままならず、ゴールデンウィークも何がゴールデンなんだかよく分からないまま過ぎていきました。
私の住む地方都市は、押しも押されもせぬ田舎町ですが、それでもさすがに新型コロナに神経をとがらせる雰囲気が出ていました。
私が勤めている町役場は、デジタル化も遅々として進まない状態で、相変わらず対人業務が当たり前。
それでも警戒感は高まっていました。
「え? テレワークですか? 選択可能なんだ...」
勤務する広報課の課長からの伝達事項の中に、可能な者は自宅での勤務も可とする旨が含まれていました。
役場全体ではまだまだインフラが整っていないので、あくまでも「希望するなら認めるよ」といった体です。
私の仕事は原稿書きがほとんどで、あとは取材と印刷業者とのやり取りです。
電話でできる範囲の取材と連絡なら自宅からでも可能です。
幸い4月の忙しい時期を過ぎていたので、5月はいわば閑散期。
ちまたで噂のテレワークなるものを試してみるかな、と考えました。
課長に申し出て、さしあたり1週間の自宅勤務を試してみました。
これが意外に快適で、とにかく決まった時間に出勤しないのが新鮮でした。
連続ドラマを毎朝見るという経験は、少なくとも就職してからは初めてです。
ドラマが終わると「勤務開始」というものの、好きなお菓子をつまみながらコーヒー片手の作業は優雅なものです。
「これはいいなあ、とりあえず少し延長してみようかな」
そんなことを思っていた週末のことです。
妻(57歳)が認知症気味の義父(84歳)の世話で義実家に出向いたところ、義弟(48歳)からとんでもない噂話を聞かされました。
「お義兄さん、感染したんじゃないか、って聞いたんだけど...」
妻はびっくり仰天です。
「コロナに感染して自宅療養してるって、噂になっててさ...」
根も葉もない噂とはいえ、義弟も戸惑っているようでした。
もしやと思って、妻が仲の良いご近所さんたちに電話をしてみると、やはり噂は広まっていました。
「ここ1週間、家から出てきてないらしいじゃない?」
「ずっと車が家にあるしねえ...」
「役場は普通にやってるから、ウジさんだけいないって変じゃない、ってね...」
そんな会話が交わされるうちに、コロナ感染に違いない、となったようです。
「一応それは誤解で、自宅勤務だったんですよ、って言ってはおいたけど...」
妻が何人かに電話した後で、ため息交じりに教えてくれました。
「この辺でテレワークしてる人ってほとんどいないから...噂が収まるかは微妙ね」
私が翌週から通常勤務に切り替えたのは言うまでもありません。
まあおそらくは、ご近所さんの間では「やっと治ったらしいよ」なんて言われていたのでしょうが...。
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