<この体験記を書いた人>
ペンネーム:やまと
性別:女性
年齢:41
プロフィール:10歳年上の夫と二人暮らしの主婦です。
今から約15年前、環境問題に興味があった私は、仕事が休みの日に環境保護関係の小さな会社でアルバイトをしていました。
今でこそ「持続可能な開発目標(SDGs)」などの言葉が一般にも広まってきましたが、その会社は当時から「持続可能な世界」を合言葉にしていて、そういう意味では先進的な会社でした。
しかし、そこの男性社長(当時50代前半)は極端な気分屋でした。
機嫌がいいときはギャグを言ったりごちそうしたりしてくれるのに、ちょっと気に食わないことがあると子どものように怒ったり声を荒げたりする人でした。
「何やってるんだ! こんなことを間違えるなんて! これを見て間違える人がいたらどうするんだ! うちの信用問題にかかわる重大なことなんだぞ!」
ちょっとしたタイプミスや変換ミスでも、こんなふうに大きな声で怒鳴り散らします。
しかし、機嫌がいいときは流行っている芸人のモノマネやオヤジギャグを連発したり、お菓子を買ってきて「ちょっと休憩しよ〜」と言ったりするのです。
社長の怒り方は自分の怒りを勝手に爆発させているだけで、子どものワガママのようでした。
そのため、パワハラと感じていませんでしたが、社長の言うことを真に受けてしまうような若い学生アルバイトさんは、ショックを受けてすぐに辞めてしまうこともありました。
そんな感じで会社はいつも人手不足で、たまに社長のお母さん(当時70代)が手伝いに来ていたのですが、社長がお母さんに対して怒ったり、声を荒げたりしているのを見るのはとてもつらかったです。
ある日、社長が外出していて、お母さんと私の2人きりになったときがありました。
「あの子のやりたいことだから応援したいけれど、いつもあんな感じだからもう疲れたわ...」
はたから見ていても社長のお母さんに対する言い方は酷かったので、愚痴りたくなる気持ちも分かります。
私が頷きながら聞いていると、お母さんは社長の昔のことを話しだしました。
「子どもの頃は勉強もできて、国立の大学に入ってちゃんとした会社に就職してくれたと思ったら...やりたいことがあるって言い出してこんな会社を始めちゃうし、いつまでたっても結婚しないし。本当にどうしようかしら」
ため息混じりに言うお母さん。
私は「そうだったんですね」と頷きながら聞いていました。
「でも、あんなんだけれど本当はいい子なのよ。皆さんにご迷惑をかけてないかと思うと、いつも心配で...」
心のうちを語ってくれたお母さんを見ながら、何ともいえない気持ちになってしまいました。
その後しばらくは私も働いていましたが、ワンマン社長の気分に振り回されるのにいい加減疲れてしまい、結局辞めてしまいました。
「持続可能な世界」という目標は素晴らしいのですが、社長の言動を変えなければ職場自体が持続不可能なのでは? と思ってしまうような職場でした。
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