<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ゆうそる
性別:女性
年齢:41
プロフィール:2年前結婚した一児の母です。妊娠7カ月で出産したため、子供は未熟児で半年間保育器に入っていました。
今から約14年前、私が27歳のときの話です。
ある日、笑ったらいきなり口元がうまく動かなくなりました。
少しすると症状は治まったので、口の筋肉が痙攣でもしたのかな、と思っていました。
治ったと思ったら、歯を磨いてうがいをしようとしても、うまく口が閉まらず水がこぼれてしまうのです。
これはただごとではないと思いました。
本当ならすぐに病院に行くべきだったのですが、その翌日に遠方で行われる友人の結婚式に出席することになっていました。
口元は気になるのですが、友人の結婚式に穴を空けるわけにもいきません。
きっと問題ない、なんとかなるだろう、そう考えて結婚式に出席することを選びました。
口元に違和感を抱えながらも、結婚式の日はなんとか乗り切りました。
しかし、症状が出てから時間がたつほどに口元が歪み、結婚式の翌日にはまるで別人かと思えるほど顔が歪んでしまい...。
自分で鏡を見てもギョッとするほどだったので、結婚式を終えてすぐに脳神経外科を受診しました。
検査の結果、幸いにも脳に異常は見られないと言われ、原因を調べるために今度は耳鼻咽頭科を受診すると、ただちに入院しなければいけないと言われてびっくりしました。
すぐに大きい病院を紹介してもらい入院することに。
告げられた病名は顔面神経麻痺でした。
耳からウイルスが入って感染したことが原因だったそうです。
しかも、発症してから3日たっていたため、完治するのは難しいと言われてショックを受けました。
入院してからは、ずっとカーテンを閉めたままで過ごしました。
もっと早く病院に行っていればと何度後悔したかわかりません。
病院では2週間ステロイドを投与し、退院後は家で半年間も療養しました。
療養している間は針治療に通っていましたが完治せず、やむなく治療をあきらめました。
そして、しばらく休んでいた障がい者の方の介護の仕事に復帰しました。
復帰後の私は、口のゆがみが恥ずかしいので常にマスクをして過ごしていました。
するとある日、利用者の方から「なんでマスクしてるの?」と聞かれました。
私が風邪ではなくてと経緯を説明したところ、ある一人の利用者の方がこう言ったのです。
「そのくらいのことで気にしておかしい。俺たちは歩いて行きたい場所にも行けん。自分でやりたい、したいこともできないとよ」
この言葉を聞いて、不思議なくらい気持ちが吹っ切れました。
このくらいでめそめそしておかしい、これくらいのことで落ち込んでいるなんてナンセンス。
もっと辛い不自由を抱えている人に失礼だなと考え直し、今では気にせず生活しています。
あのときにかけていただいた言葉で目をさますことができて、心から感謝しています。
人気記事: 《漫画》「手伝います」「いいよ大丈夫」義実家でしどろもどろの私。食事は外食になったけど<前編>
人気記事: 《漫画》「命を削ってでも孫の面倒を見る!」弟の妻が亡くなり80歳両親が「子育て」に奮闘!?<前編>
人気記事: 少しの間、高熱で寝込む息子との留守番を実母にお願い。帰ってみると...《石塚ワカメ》
- ※
- 健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
- ※
- 記事に使用している画像はイメージです。