長年連れ添った愛犬を一人で見送った母。その日から認知症が始まった

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ペンネーム:mayu-w
性別:女
年齢:58
プロフィール:母が認知症を発症したのは79歳の時でした。認知症の進行はとても早くその変化にあわせ介護に努める日々です。<

※ 毎日が発見ネットの体験記は、すべて個人の体験に基づいているものです。

◇◇◇

2012年11月29日、愛犬が18歳で天国に行きました。
市から長寿表彰をいただいた、その二カ月後のことでした。

今振り返ると、当時79歳だった私の母の認知症が発症したのは、この日がきっかけだったように感じます。

母と愛犬は、家族が仕事で留守をしている間、いつも一緒でした。

時には母の話し相手になり、時には悪くもないのに母の気分で怒られたりしながら、どんな時も母に寄り添い守ってくれました。

当時も足の痛みがあった母でしたが、愛犬もまた老犬になってからは足腰が弱くなり、同じように足をかばいながら並んで歩く姿が今でも忘れられません。

そんな愛犬の最期を見守ったのは、母一人でした。

その日は雨が降っていました。

母の連絡を受け、私が自宅へ戻った時、そこには、自分は濡れながらも庭に横たわる愛犬が濡れないように呆然と立ちすくみ傘をさしかけている母の姿がありました。

でも、悲しいことに愛犬はすでに冷たくなっていました。

母の話では、愛犬は倒れる直前まで、好物のさつま芋とチクワを全部食べていたそうです。

家族全員泣きました。

でも、母は涙を流すことなく、ただ静かに愛犬の顔を見て「18歳まで長生きして、好きなもの全部食べていったから良かった」と言いました。

でも、今思えば、それは、母の妄想だったのかもしれません。

そうであってほしいと思う母の気持ちが、現実に思えたのかもしれません。
母は、涙を流さなかったのでなく、涙もでないほど、ショックを受けていたのかもしれません。

愛犬がいなくなり、母が一人で過ごす時間が多くなりました。

そして、少しずつ少しずつ、母の言動がおかしくなってきました。

急に雨が降り出すと、愛犬が濡れないようにと、庭に出て犬小屋の向きを変えようとします。

最初は、止めていましたが、私に止められたことで、自分が変な行動をしたと気付く母が可哀そうに思え、そのうち見て見ぬふりをするようになりました。

母から電話があり、「チクワがないから買ってきて」と言ってきたこともあります。

そのチクワは、愛犬にあげるためのものだとわかっていましたが、母の言葉が悲しく、気がすむように、何度もチクワを買って帰りました。

他にもいろんなことが多々あり、通常は、わかっていても、ふとした時に愛犬がいなくなったことを、忘れてしまうようでした。

母の言動がおかしくなったのは、愛犬に関してのみではありません。

他にも、さまざまな場面で症状があらわれてきました。

認知症の始まりは、「財布がなくなった」と言い出すことがあるとよく聞きますが、母も例外ではありませんでした。

財布に限らず、あれがない、これがないと言い出し、そのうち、そのなくなった物が「誰かが黙って持っていった」と言うようになりました。

妄想が膨らみ、親戚やご近所の方にも、そんな話をするようになりました。

人格的にも変化がありました。

怒りっぽくなり、人の話を聞かなくなったのも、この頃だと思います。

それでも、この頃は、母が認知症を発症しているとはまったく想像さえしておらず、愛犬がいなくなったことが原因で、そんな変化が起きていると思い込んでいました。

ただ、その変化について、母の主治医にいろいろと相談をしていたところ、主治医から「要介護申請をしてみたら?」とすすめられ、ここで母が「認知症」であることをはじめて認識しました。

この時から、時を経て現在まで、さまざまなことがありました。

入退院も繰り返すことが多くなり、そのたびにどんどん進行してきたように感じます。
現在、母は要介護2ですが、次回更新時には、要介護3になる可能性が強いとのことです。

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