「遺言書は残される家族のため」母の認知症をきっかけに考えたこと

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ペンネーム:こみく母
性別:女
年齢:58
プロフィール:私の母が遺言書を作成することをきっかけに、私も私自身の死後について考えるようになりました。

※ 毎日が発見ネットの体験記は、すべて個人の体験に基づいているものです。

◇◇◇

私の母は85歳のときにアルツハイマー型認知症になりました。そのことをきっかけに、「今後のことを決めたい」と母が言いました。家族もしっかり母の意思があるうちに、母の考えを知りたいと思い、遺言書を作成することになったのです。

母の認知症の症状は不安定でしたが、病院から処方されている薬で症状は安定し、司法書士の方々の力を借りて遺言書の作成を行なっていきました。

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そのとき私が考えたことは、私自身の今後についてでした。

私は田舎を離れ、結婚し、2人の子どもがいます。母が遺言書を作成するということは、私の子どもたちとも母から譲り受ける田舎の家や畑、田んぼについて話しておかなければいけないということです。

父を病気で亡くした母の場合は、私、また母から見た孫、つまり私の子どもたちが相続人になります。また、私の娘はバツイチで子どもがいるため、母から見るとひ孫もいます。

遺言書を作成する場合、理由にもよりますが、第一相続人を決め、さらにその第一相続人にもしもが起きた場合を想定した第二相続人も指名して作成することが多いそうです。母の場合、相続人が複数いるため、きちんと相続人を名指して決めることになりました。第一相続人を私、第二相続人を私の息子としました。

手続きを進める中で、血縁関係や状況によって遺言書の内容や書き方もさまざまであることを知り、どんな状況にも適応できるよう、私自身もしっかり文書として残しておきたい気持ちが増していきました。

遺言書は財産を多く持つ人や家族間での問題がある場合に作成するものだと考えていましたが、司法書士の方に、『遺言書は、意思や気持ち、願いを残される家族のために示すもの』だと教えてもらいました。遺言書には大げさな言葉は必要なく、その状態に合った文章や書き方、形式にそって作成していくことが大切でした。遺言書に示すのは、金銭的な価値だけでなく、家族として残せるものや形にできるものを残してあげたい気持ちが一番の動機です。

遺言書を作成することは、当たり前というわけではないかもしれません。法定相続人などの制度の通りに新しい世代へと相続していくことが当たり前の流れなのかもしれません。それでも家庭環境や将来を考慮し遺言書の作成が必要になる可能性は誰にでもあり得ます。

私の家族は将来のことを考えた母や私自身の意思を実現させるためにも遺言書という形をとることに決めました。母や私の気持ちが一番の遺言書ですが、家族みんなが納得できるような形で将来を決めて行きたいと考えています。

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