性別:女
年齢:27
プロフィール:10、9、3歳の息子を育てているママです。私の祖母は87歳で認知症を患っています。普段は叔母が面倒を見ていますが、たまに興奮したり、幻覚を見てしまうことがある状況です。
私の母の趣味はナンプレです。私が幼いころから、細かい作業が好きだった母は、ナンプレ雑誌を毎月購入し、ナンプレをするようになりました。父の帰りを待つ時間や家事の隙間時間など、時間を見つけては問題に向かっていました。
そんな母の母、つまり私にとっての祖母が認知症を患いました。祖父は私が生まれる前に亡くなってしまい、祖母はそれからずっとひとりで暮らし。年に1度会うくらいでしたが、とても可愛いおばあちゃんでした。母は、帰省し様子を見に行きましたが、近所に住む叔母が面倒を見ていくことで話がまとまりました。施設の話や介護士の話も出ましたが、家族で協力したいというのが家族の判断でした。
私も何度か会いに行きましたが、テレビで見ていたような暴言や暴力、徘徊といった認知症の症状はまったくなく、物忘れが目立つ程度でした。しかし、数ヵ月を過ぎたころから幻覚が見えるようになりました。例えば、誰もいないところに人が見えたり、鏡の自分を見て閉じ込められていると錯覚し、助けを求めたりしました。また、耳が悪くなっていることで、聞き間違いなども増えていました。私達は、幻覚や幻聴が現れても否定せず「大丈夫」という言葉をかけることに徹しました。症状の波が激しく、症状が治まると一生懸命私たちの話を聞こうとする祖母の姿を見て、私たち以上に祖母の方が不安だとわかったからです。
そんな祖母が病院ですすめられたのが作業療法でした。作業療法とは、みんなでできる体操、折り紙、編み物などを通して人とコミュニケーションをとり、「いつ」「どこで」「誰と」「何を」を意識させ、メモを取ったり、祖母に自分の口で出来事を話してもらうなど管理させることで、見当識訓練を行うものです。
そこで登場したのが母の趣味であるナンプレでした。ナンプレは数字をたくさん目にしながら、自分で考え、自分で数字を書き、脳を使います。しかし、一人で淡々と行う作業は脳に刺激を与えづらく、作業療法にはなりづらいそうです。「考えながら行動し、心の満足感を得ることが、脳を活性化させることにつながる」とのことだったので、ナンプレを「ただの作業」にしないように心がけました。祖母自身がひとりで黙々とナンプレをすることにならないよう、私と母も一緒に同じ問題を行い、コミュニケーションをとりながら挑戦することにしたのです。同じ問題に挑戦することで、闘争心がわくことに加え、「誰と」「何を」を意識してもらえたようです。また、コミュニケーションをとることにもつながりました。
祖母の認知症の発症をきっかけに、母も認知症防止を意識するようになりました。母は、今からできることをしていきたいと脳トレを始めました。脳トレの中でも、筆記用具と紙さえあればできるナンプレはおすすめです。ひとりで作業するだけでなく友人や近所の人と一緒に行うことでより効果が現れると思います。
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