<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ウジさん
性別:男性
年齢:61
プロフィール:マスク生活に疲れた、地方都市で再任用公務員をしている61歳の男性です。コロナが落ち着き、以前の活気が少しずつ戻ってきて嬉しい限りです。
2023年の3月末、暖かくなってきた陽気に誘われて、近場の温泉地へ妻(58歳)と出かけたときのことです。
世間ではコロナ禍もだいぶ収束してきた感じで、マスクの着用は個人の判断に委ねられ始めた頃でした。
私はマスクが苦手なので、屋外では基本的にマスクを外すようにしているのですが、温泉街の通行客はまだ7割ほどがマスクをしている感じでした。
「そろそろお昼にしようか」
妻とそう話しながら、食事先を探しました。
「せっかくのお出かけだしなあ、何かここならではのものがいいよなあ...」
キョロキョロしていると「ノーマスクOK」と書かれた店が目に止まりました。
「へえ、さすがに飲食店でこれは珍しいね」
改めて店を確かめると、地場のそば粉を使った手打ちそばが売りのお店でした。
「十割蕎麦かあ、地元っぽくていいよね。入ってみようか」
妻に声をかけると賛成してくれたので、暖簾をくぐりました。
すると、すぐに40代ぐらいの女性の店員が近づいてきて声をかけてきました。
「...マスクはなさらないんですか?」
店先にノーマスクOKとあったので、私はマスクをしていません。
「いや、ノーマスクOKってあったから...」
「ノーマスクの方はテラス席でお願いしまーす」
ぶっきらぼうに店外の席を指差されました。
「まあ、分煙みたいなもんだね...」
店内はそこそこ混んでいて、みなマスクをしていました。
テラス席に人はおらず、マスクをしないのはまだまだ少数派なのだなあと、指定されたテラス席に座りました。
暖かな日だったので、まあこれも悪くないかと思い、メニューを見ながら待っていました。
「しかし、来ないね」
いつまでたっても水さえ運ばれてきません。
「忘れられてるのかな...」
やむなく、店の中に顔を突っ込んで声をかけました。
「テラス席はセルフになりまーす。テーブルに書いてありますよね?」
これまたぶっきらぼうな返事が。
たしかにテーブルには「テラス席利用の場合はセルフサービス」と書かれていました。
店の中では、水が運ばれ、すぐに注文を聞きに来て細やかにサービスされているのに、と少々納得はいきませんでしたが、自分で水を運びました。
ちなみに「店内に入るときはマスクを」と促され、結局マスクをつけることになりました。
それから注文も自ら伝えに行き、預けられた呼び出しベルが鳴れば品物を受け取りに行き、食後の蕎麦湯も受け取りに行く形です。
もちろん、そのたびにマスクを着用しなければいけません。
「この分じゃ、食べた食器も洗わされそうだよ...」
なんとも落ち着かない食事を終えた後、普通に店員がサービスをしている店内を眺めながら、何だかガッカリしてしまいました。
まだ感染対策が言われている世情でしたから、私が解放感に浸りたいというのもわがままなのかもしれません。
「でもさあ...これを『ノーマスクOK』と謳うのは、いわば誇大広告じゃないの?」
店を出てから妻と文句を言いながら温泉街を後にした私たち。
なんとも後味の悪い小旅行になってしまいました。
人気記事:《漫画》に、睨んでる!? 小学校の学年委員で談笑中に妙な空気になり振り向くと...<前編>
人気記事:《漫画》「ごはん食べたい」帰りたがらない小4娘の同級生。家族の連絡先を知らないのに困る!<前編>
人気記事:痛い目に合わな、わからんな...買い物にいちいち口出しする夫を黙らせた「ある食事」《かづ》
- ※
- 健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
- ※
- 記事に使用している画像はイメージです。