「自称、敏腕の社長。彼の非常識な振る舞いを見て、彼の会社の社員も苦労しているんだろうなと気の毒な気分になってしまいました」
■「社員が気の毒になる...」イタい社長の振る舞い
社長は続けます。
「マスターも忙しいんだよ。勝手にやってきて、質問されるとちょっと待ってって? だめだねえ! こんなこと上司に知れたらどうなるの? うちの会社だったらクビだよ」
社長は満面の笑みで声のトーンを上げます。
友人は顔をしかめていましたが、社長がこうなると止まらないのはいつものことでした。
「何が悪いか、分かる?」
「申し訳ありません」
顔面蒼白の営業はひたすら頭を下げますが、社長は相手が弱ければ弱いほどヒートアップするタイプなのです。
「営業に出るとき、どれくらい準備に時間をかけてるの?」
こうして社長の説教は30分も続き、その間に浮かべていた笑顔はとても醜悪でした。
「本当に申し訳ありませんでした」
真面目そうな営業はがっくりと肩を落とし、確認の電話をかけることなく店を後にしました。
「きっちり準備してから出直しておいで」
社長はその背中に向けて、さも優しそうに言いましたが、再び来ることはないでしょう。
営業が出て行き一息つくと、社長はおどけたように「またやってしまった!」と言いました。
おや、この人でも反省するのか、一瞬そう思った私は本当に愚かでした。
「1円の儲けにもならないのに、他社の社員まで教育してしまった!」
そう言って高らかに笑いました。
他人の店に来た営業を勝手に追い返すほうが余程、非常識だと思うのですが、社長は正義の味方気取りでした。
社長が上機嫌で帰ると、友人は深く溜息をつき、「悪い人じゃないんだけど」とつぶやいていました。
彼の会社の社員たちが気の毒になった出来事でした。
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