「最近になってですが、タイパなんて言葉も定着してきました。たしかにいろいろと便利な時代になりましたが、誰かを思いやる気持ちは忘れたくないものです」
■レジのヘルプに来た店員さん。若者を優先すると思ったら...
レジで待たされていらいらしていた若者。
列に並んだ他の人たちもいら立っている様子でしたが、それ以上に若者の言動に眉をひそめている感じもしました。
「時代に取り残された人のあおりで、便利さを生かせないって不公平でしょ?」
スマホをこれ見よがしに突き出しながら、若者はいよいよ嫌味たっぷりに言い放ちました。
この発言は私のみならず、列に並んだ人たちの多くが言い過ぎだと感じたようで、連れの方に耳打ちする人も。
その時、別の作業をしていた店員さんが空いていたレジに来ました。
「大変お待たせしました!」
列に向かってその店員さんが声をかけると「ほらあ、キャッシュレス優先だってよ! さすがだねえ」と言いながら、件の若者が列を離れてレジに真っ先に近づきました。
すると、そのレジの店員さんは申し訳なさそうに言いました。
「あの...申し訳ありませんが、並ばれている順番でお願いいたします」
「え? あ......そうっすよね...」
若者はちょっと驚いた表情で立ち止まり、元の列にきまり悪そうに並び直しました。
「...ありがとうございます。次にお並びの方、どうぞ!」
店員さんの爽やかな対応が印象的で、失笑をこらえていたのは私だけではなかったと思います。
「ああ、あった! はい、これで足りますよね」
列の先頭の御婦人も、無事に小銭の捜索を終了したようでした。
便利な時代になりましたが、相手を思いやる気持ちは忘れたくないものです。
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