「私たちの反対を押し切って結婚を決めた妹。決まった以上、私も母も妹を祝福するつもりでした。そうして結婚式に出席することになり、そこで初めてお相手のお子さんと会うことになりました」
■妹の結婚式で起きた奇跡
私や母が反対してしまったこともあり、私と母は結婚式当日までT君に会えませんでした。
結婚式当日、私も母も、もちろん妹とSさんを祝福しようと決意していました。
T君はとても緊張した様子で、彼がお父さんの結婚をどう思っているのか心配でした。
父親よりもずっと若い妹のことを母親として受け入れるわけがない、まだ小さな子どもならまだしも、14歳という最も繊細な時期の男の子です。
私や親族はみんな心配していました。
結婚式の最中、T君がお父さんへの手紙を読む場面がありました。
結婚おめでとう、という内容のお手紙です。
聞いているうちに、お母さんを亡くして一番寂しい気持ちを味わっているであろうT君が、お父さんのことを心配している気持ちが伝わってきました。
そしてT君は妹のことをお手紙の中でMちゃんと、下の名前で呼んだのです。
初めてMちゃんがお弁当を作ってくれた日、ありがとうと言えなかったけれど、本当はとても嬉しかった。
お母さんが帰ってきてくれたみたいだった、と。
このお手紙の内容を聞いて、私も母も涙が出ました。
T君が素直な素敵なお子さんであることも嬉しかったし、何より、妹がそんなにSさん父子に受け入れられているんだということが分かり、嬉しかったのです。
私は妹のことをずっと子ども扱いしてしまっていたのだと気づきました。
T君の母親として生きていくとはっきり言った妹の姿を思い出し、妹にはもうすでに暖かい家庭があるのだなと感じ、心から、妹とSさんとT君を応援していこうと感じました。
妹はその後、子どもには恵まれませんでしたが、いまもSさんとT君と3人で仲良く暮らしています。
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