「乾布摩擦を極めようとしていた母。最初はタオルでしたが、次第とさまざまなアイテムを試すようになっていったのです。最後のほうは痩せ我慢しながらやっていたのでは...」
■あらゆるアイテムを試していった母にドン引き
乾布摩擦にハマった母。
タオルよりもっと刺激を与えられるアイテムを使えばいいのではと、母が目をつけたのはへちまでした。
入浴用のへちまのスポンジなどというものがありますが、これは水に濡らしてやわらかくして使うもので、乾燥したものですと少し体をこすっただけで痛いし傷がつきますよね。
私はとても無理でしたが、母は平気な顔をして、毎朝へちまのスポンジを使って乾布摩擦ならぬ、へちま摩擦をしていました。
これでも充分なのに、次に目をつけたのは漁網スポンジ。
魚を捕まえる網を素材としたスポンジです。
魚が逃げないようにする、そして海の中で網が切れないようにしている丈夫な素材で、食器洗いに使えば頑固な油汚れもピカピカになります。
これもしばらくやっていたのですが、ついに究極のアイテムを見つけました。
たわしです。
いまはマッサージ用のたわしもあるようですが、母が使うのは金物屋さんにある、焦げ付いた鍋の汚れを落とすのに使うようなもの。
毛先も思いっきりツンツンしています。
それで毎朝、乾布摩擦ならぬ、乾たわし摩擦をするのです。
見ているだけで痛そうだし、肌も擦りむいたように赤くなるのですが、本人は平気な顔。
もう超人にしか見えませんでした。
ところが、しばらくして母は元のタオルを使った乾布摩擦に戻っていました。
聞けば「やっぱり痛かったわ」とのこと。
そりゃそうでしょ、いきつくところまでいって、やっと納得したようです。
でも、痛いのにやせ我慢して続けていたんだなと思うと、その強情っぷりが少し面白かったです。
そんな母は亡くなる直前まで、ベッドの中でも乾布摩擦をしていました。
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