「母さんは俺の悪い所ばかり見る」私は毒親だった? 大切な息子に言ってしまった「最低な言葉」/chii

モラハラDV夫から逃げ、日の当たらない2DKのアパートに引っ越した私たち親子。

しかしそこは安住の地ではなかったことは、前回の記事に書いた通りです。

【前回】「貧乏に絶望した」貧困の連鎖を断ち切るため大学進学を決めた息子。しかし私は「最低な言葉」を/chii

「母さんは俺の悪い所ばかり見る」私は毒親だった? 大切な息子に言ってしまった「最低な言葉」/chii pixta_28638215_S.jpg

息子は高校3年生の12月、受験までもう少しという時期になって、センター試験は受けないと言い出しました。(今でいう共通テストのこと)

私は「貧乏だから、浪人は絶対だめ」と口をすっぱくして言っていました。

息子のやる気スイッチを切ってしまったのは私だったのかもしれません。

試験が押し迫ってきて、彼が自信を失っていくのが見ていてわかりました。

塾へは行ってなかったので、直前の対策や心構えなど何もわかりません。

高校の担任の先生には、浪人できないなら、私立大を受験することも考えては?と言われたらしい。

私立大?貧乏な母子家庭で無理だからと、受験は考えていませんでした。

合格しても行けないなら、受けても仕方ないと思っていたようです。

結局はセンター試験中心の国公立大一本で勉強をすすめてきました。

それでも、センター試験が近づくにつれて、彼はプレッシャーとも戦っていたのかもしれません。

私は息子を褒めることができませんでした。

ある日、息子が最後の模試の結果を見せにきました。

見せにくるということは、結果が良かったからなんです。

模試の結果がE判定の時、彼は絶望のどん底にいました。

そこから猛勉強をして、最後の模試の結果が、志望大学で初めてのA判定が出たのです。

自分の努力が、数字となって表れて嬉しかったのだと思います。

「よくがんばったね」

そんな言葉を期待していたのかもしれません。

それなのに私は、年末商戦で大変忙しい時期、クタクタになっていたので、数字を見ることもせずに、「A判定出たからって浮かれていたらだめ、A判定でも落ちる子はたくさんいるらしいから」と、怖い顔で言ったらしいのです。

大学入試直前で、ピリピリしていた息子と、仕事で疲れ切っていた私は、その頃よく喧嘩をしていました。

ある日の喧嘩の最中に、「母さんはなぜ、俺の悪い所ばかりを見るんだ? 良い所を見てよ」と言われて、ハッとしました。

もしかして私は今まで息子を褒めたことがないかもって気が付いたのです。

欠点ばかり見て、けなしてばかりいたのです。

私は毒親だったのかと思った瞬間でした。

そして、もう一つ気が付いたことは、私も褒められたことがないということ。

両親からも、夫からも褒められた記憶がありません。

なので、褒め方がわからなかったのです。

どんなに頑張っても、自分を認めてもらえないってすごくつらいことです。

その辛さは、わかっているのに、同じように息子を褒めることなく、けなしたり、存在を拒否していたことさえ、あったのです。

正直に書くと、私は彼の中に、DV夫の影を見ていました。

やはり同じ血が流れているので、似ている部分もあったし、モラハラDV父の背中を見て育ったせいか、モノを壊す、モノにあたるという行動をよくしていました。

私はイライラすると、「お父さんにそっくりだね、もうお父さんのところへ帰りなよ」と言っていました。

今思うと、本当にひどい母親だったと思います。

今から、5年前の冬のことです。

父親からも母親からも否定されて、年末にひとりぼっちで勉強をして、どれだけ孤独だったことか、どれだけ苦しかったことか。

センター試験を受けないと言い出したのは、あまりに苦しすぎて、その場から逃げ出したかったから。

その頃、息子は「早く楽になりたい」と口癖のように言っていました。

再び、スイッチが入ってから、センター試験直前まで、気が狂ったように勉強していました。

そして、一睡もできないまま本番のセンター試験を迎えたのです。

健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
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chii

モラハラDV夫の家を飛び出し、7年目のchiiと申します。離婚には応じてもらえずに、現在も熟年別居中です。つい最近、共に暮らしていた大学生の息子が自立をして一人暮らしになりました。某スーパーでサービスカウンターの仕事をしています。パートなので生活は楽ではありませんが、結婚生活が地獄だったからこそ、現在の一人の時間に幸せを感じています。別居直後から書き出した「60代小さく暮らす」お一人様の老後がテーマの「お茶のいっぷく」を書いています。

※毎日が発見ネットの体験記は、すべて個人の体験に基づいているものです。

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