胸キュンも鳥肌も...クラシックに魅了されアマオケ生活35年目

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ペンネーム:ふぉるてぴあの
性別:女
年齢:54
プロフィール:女性がクリスマスケーキに例えられていた頃、男女雇用均等法ができたというのに寿退社してしまった典型的な昭和世代。

※ 毎日が発見ネットの体験記は、すべて個人の体験に基づいているものです。

◇◇◇

私のアマオケ(アマチュアオーケストラ)生活は、一年間の浪人生活を経て入った大学の正門で、たまたま見つけた立て看板との出会いからでした。

「初心者歓迎」と書かれた管弦楽団の看板の案内図を見て、何だろう?とのぞきに行き、「何の楽器が希望?」と聞かれてとっさにバイオリンと答えた私。正直に言うと、当時私はバイオリンしか楽器の名前を知らなかったのでした。すごくやりたかったわけでもなかったのですが、面白そうだなという気分だけで始めてみることにしたのです。

大人になってから楽器を始める人をレイトと呼びますが、何も知らなかったからふとやってみようという気になったバイオリン。今なら大学生で初心者なんていないのかもしれませんが、当時は3割くらいが初心者という時代だったので、それもよかったのだと思います。

入団すると最初は先輩が弾き方を教えてくれましたが、その後はプロの先生のレッスンに付くように言われ、バイトでレッスン代を稼ぎながら、1年くらいは正式に習ったでしょうか。

楽団の定期演奏会は、春と秋の年2回。プログラムの多くは、前プロ、中プロ、メインの3部構成で、バイオリンは第1と第2があり、1年生の初心者は秋の演奏会に第2バイオリンでメインの曲だけ舞台にのることができます。
演奏会の練習は、平日はパートというそれぞれの楽器での練習、週末は弦楽器や木管楽器、金管楽器などセクションでの練習を重ねた後に、トゥッティと呼ぶ全体練習で曲を仕上げていきます。もちろん、その合間に個人練習を重ねます。

生まれて初めての管弦楽曲は、ブラームスの交響曲第4番。いくら第2バイオリンでも、簡単に弾ける曲ではありません。楽譜を目で追うだけで精いっぱいで、弾けるところだけを弾くといった極めてお粗末な状態でしたが、私はこの初めてのトゥッティ体験で泥沼のようにズブズブとこの世界に引き込まれていったのです。

第1楽章は第1と第2バイオリンの物悲しいメロディーから始まるのですが、それに重なるようにビオラ、チェロ、フルートといろいろな音が絡み合います。次第に私の体はオーケストラを構成する様々な楽器が奏でる音に包まれていくのです。第2楽章のホルンは背後からそっとやさしく抱かれるような気分。木管楽器のメロディーに酔いしれて、胸キュンです。第3楽章はその速さについていけないないながらも、うねる音を堪能し、そして最後の第4楽章。私の背後から金管楽器の音の塊が体を中を通り抜けるような感覚に、思わず鳥肌が立ちました。もう、すっかりこの世界のとりこです。卒業後は、迷わず市民オーケストラの門をたたき、仲間に加えてもらって今に至る......です。

この音があふれる世界は、音がまるで生き物であるかのように流れたり留まったり、うねったり絡まり合ったり、極彩色だったりモノトーンだったり。この中に身を置くと、まるで瞑想でもしているように、雑多な日常から魂が解き放たれて浄化されるのです。

また、オーケストラで弾くなかで、作曲家という過去の人との出会いあり、ソリストや指揮者という今の人との出会いあり、そして、みんなで一つの曲を作り上げていく楽しさだけでなく、鳥肌が立つくらい美しいメロディーを聴く楽しみと弾く楽しみが同時進行。

そんな風にすっかり魅了されて、気が付けば35年も経ってしまいました。その間、結婚し、出産し、転勤し、演奏会に出られないことも多々ありました。でも、今の自分の年齢を考えると、いつまでも弾いていられるわけではないでしょうから、今は無理してでも、できるだけこの音のあふれる世界に身を置いていたいと思っています。

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