私は34歳独身女性。仕事が軌道に乗り、一人暮らしを満喫し始めたところ、ひょんなことから写真の世界に足を踏み入れることになりました。若い仲間たちと共に一歩を踏み出します!
※実際に身の回りで起きた実体験エピソードに基づき構成しています。
引っ越した直後の私は知人もおらず、なじみの店もない新天地に慣れるまでの間、なんとなくぼんやりと過ごしていました。
ある休日、近所の書店で手に取った宣伝チラシを見て、近くの大学でアートイベントをやっていることを知りました。
やることもなく時間を持て余していたので、そのままなんとなく立ち寄ってみることに。
「風景写真同好会です、ぜひ見に来てください!」
大学生3年生の槇原さん(22歳男性)に最初にもらったパンフレットが、私の運命を変えました。
「風景写真...?」
「そうです。風景写真だけに特化した同好会です。展示会場でポストカードや写真集も出してるんですよ!」
「へえ、行ってみようかな」
「ありがとうございます! 俺、案内しますよ」
話を聞くと槇原さんは写真同好会の部長らしい。
「風景だけしか撮れないのって、制限があって大変?」
「それ込みで楽しいです。同じ場所でも天候や時間帯で『顔』が違うんで」
案内された先には、星が輝く富士山の夜景や、徳島の青い海辺など、さまざまな風景写真がありました。
「じゃあ、どうぞごゆっくり」
「案内ありがとうね」
一人になってゆっくり見て回ると、自然だけの写真もあれば人も入っているもの、最近はやりの廃墟だけの写真を撮っている人の作品もありました。
「これ、私でも撮れそう」
うっかり口を滑らせてしまった私の背後から、声をかけられました。
「そうなんですよ!」
振り返ると、そこには笑顔がかわいい女子大生の姿が...。
「自分でも撮れそう、と思ってもらうのは一つの入口なんです」
「写真って、技術的に可能なことはもう大抵やられ尽くしてるから、あとは撮る側が何を撮るか。スマホでも簡単に撮れるからこそ、強く意識して何かを撮りたい、留めたいと思う瞬間をより意識する必要が出てきました」
急に話し出す様子にたじろぐ私に、彼女は「だから...」と続けます。
「お客さんも写真、撮ってみませんか!?」
「.........えっ?」
「お客さんにはお客さんにしか見えない景色があるんですよ。それを今、少し撮ってみましょうよ。スマホでいいですよ」
「そんな急に言われても」
「アートは実践あるのみ! さあさあ、今日は天気がいいから外にしましょう!」
かくして急転直下、私は写真の世界へ一歩を踏み出すことになったのでした。
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