<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ウジさん
性別:男性
年齢:60
プロフィール:迷子になるなんて、よその家のことだと思っていましたが、いざ我が身に起こると生きた心地がしませんでした。
今は立派な(?)社会人となった息子が小学校に上がる前、20年ほども前のことです。
息子(当時5歳)、妻(当時37歳)、娘(当時7歳)と私、家族4人で動物園に出かけました。
「ライオンいる? 象さんもいる?」
息子のハイテンションは、今思えば嵐の前触れだったかも知れません。
「僕、ふれあいコーナーで羊と遊ぶんだよ!」
息子の最大の楽しみは動物園のふれあいコーナーでした。
うさぎや羊などの小動物と触れ合って遊べるイベントがあるのを知っていたからです。
動物園に着いたときから息子はそればかりを口にしていて、一刻も早く行きたい様子でした。
しかし、ふれあいコーナーに行ってしまえば、もうそこから動かなくなるのは目に見えていたので、まずは一通り見学しようと回っていました。
「...あれ? はるたか(息子の名前です)は?」
「え? あなたが手をつないでたんじゃ...」
やってしまいました! 我慢できなくなった息子は、1人でふれあいコーナーに向かったようです。
しかし、息子はふれあいコーナーがどこにあるかは知らず、まだマップなどが分かる年齢でもありません。
とりあえず、行くかもしれない場所はふれあいコーナーしかないので、妻には娘を連れて先に行っておいてもらうように頼みました。
私はとりあえず来た道筋をたどりながら入口まで戻ってみましたが、息子の姿は見当たりません。
もしかするとと思い、息子が大好きなライオンや象の檻の前に行ってみましたが、やはりいません。
もう手に負えないと思い、藁にもすがる思いで迷子センターに行ってみました。
「5歳で、青いズボンに黄色いトレーナーを着て...」
「...センターには来ていないですね。放送を入れてみましょう」
呼びかけの放送を入れてもらいましたが、息子がセンターに来れるとも思えません。
誰かに連れてきてもらうことを祈りながら、ひとまず妻に状況を伝えようとふれあいコーナーに向かいました。
するとそこに息子がいます! 楽しそうにうさぎと追いかけっこをしています。
その脇に妻がいて、こちらに気づいて手を振っています。
「いたのか! 良かった...」
「え? あなた、今までどこにいたの?」
「...何言ってるんだ! 探し回ってたに決まってるだろう!」
「え? だって、はるたかを連れて来たのはあなたじゃないの? 姿が見えないからどうしたのかと思ってたのよ」
「は? 俺が連れて来た?」
「お父さんが、こっちだよ、って手招きした通りに着いて来たって言ってたのよ」
息子が言うには、迷子になって困っていたところ、離れたところから私が手招きしているのを見つけて、それに従っていったらふれあいコーナーに着き、妻たちと出会ったと言うのです。
「でも、当のあなたはいないし、どうしたのかな、って思ってたのよ」
そんな話をしていると園内放送で、息子の特徴を知らせる声が聞こえました。
「ほら、どうしても見つからないから迷子センターまで行ってたんだぞ」
誰かと私を見間違えて、たまたまここに来たのかも知れません。
「パパさん(息子は私をこう呼びます、今でも)だよ。同じ茶色い服着てたし、あれは絶対パパさんだった」
ほんとに私だったのか、と息子に問いただしてみたのですが、自信満々でした。
「...まあ、いたんだからいいか...って、迷子センターに見つかったって知らせに行かなきゃ!」
探し回ってもうヘトヘトでしたが、もうひと踏ん張りとセンターに向かいました。
事なきを得たのは何よりでしたが、なんとも不思議な出来事でした。
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