できないことで子どもをせめるより、できることをほめてあげよう。ゆっくり成長していけばいいんだ...まるさんは改めてそう思ったそうです。
――自分が言った言葉をリュウ君に繰り返させようとするまるさんからは、期待と焦りが感じられました。
まるさん(以下、まる) 「真似が大事、真似をすれば言葉が出てくるよ」と周りの人からよく聞いていたので、どうにかその一歩を踏み出してほしくて必死になり過ぎたんです...。でも、そのとき息子が泣いてしまって、ものすごい罪悪感とともに、「ああ、これはまだ今やることではないんだな」と感じて落ち込みました...。
――周りの人の楽観的な言葉で逆に孤独を感じてしまう様子が描かれていましたね。
まる ママ友や家族から「うちの子もそうだったよ」とか「男の子は言葉が遅いからね」と 言われていて、期待と疑いを同時にもっていました。この頃は息子が発達障がいだと認めたくなかった時期で、もしかしたらみんなの言う通り、もうすぐ普通に話し出すかも! と期待していたので、余計に落ち込んだんだと思います。「だっこって言って!」と言い過ぎて、泣かせてしまったのも、焦っていたからだと思います。
――リュウ君を通じて、まるさんも学んだり反省したりしていたんですね。
まる 「だっこ」と言わせようとしたせいで、一切真似してくれなくなってしまいましたからね...。逆効果だと気付いたので、その後は発語が出るまで、こんなことはしませんでした。
最初からなんでもできるお母さんなどいないし、お母さんも子どもと一緒に成長していくもの。このときのまるさんを責めることはきっと誰にもできないだろう。
「どうしてうちの子が!?」と悩み、苦しみながらも、少しずつ成長する息子の姿に力を得て、一歩ずつ前に進んでいくまるさん。発達障がいを「障がい」ではなく「個性」と思えるほど子どもに寄り添い、一緒に成長していく姿を『シンママのはじめて育児は自閉症でした』で見守っていこう。