こんにちは。「さよのシンプルライフブログ」を主宰している原田さよと申します。このコラムでは、人生後半をラクに暮らすための片付けについて、苦手でも続けることのできる方法や、やる気を維持するコツなどについて書いてきました。
前回の記事→夏前の今がおすすめ!プロのお掃除、罪悪感を捨てて利用したら期待以上の効果が
今日は、4月から同居をはじめた要支援2の義母と、今どのように暮らしているかについてご紹介します。片付けや掃除などの家事が、良い関係を保つための橋渡しの役をしているという内容です。
義母は昨年末に大腿骨を骨折しました。手術を受けたあとリハビリを続け、危なっかしいですが、杖なしでもなんとか歩けるようになっています。記憶の面で少々気になる点は出てきたものの、会話などもしっかりできますので、介護する私の方はさほど困ることはないだろうと思っていました。
ところが、義母の日中の暮らしをサポートするのは、予想していたより難しかったのです。
義母の入院中に、狭いLDKとトイレを動きやすいようにリフォームしました。
義母の日中の暮らしをどう支えるか
義母は見守りと少しの介助は必要だというものの、デイサービスを利用できる週二日以外は、日中を持て余しています。自分で動けても、毎日していた野菜や花の世話はもう難しいですし、もともとテレビもあまり見ない人なので、手持無沙汰になるわけです。
私が相手をするといっても限界がありました。
そこで、義母はもちろん、介護する私の方も日中を無理なくラクに過ごせる方法はないかと、いろいろ試してみることにしました。
義母の好きなことを思い出す
結婚後すぐ同居をはじめたものの、様々な理由でダメになり別居に至りましたので、今回の同居は二度目で、二十数年ぶりになります。
それでも、ひとつ屋根の下で暮らし、三食ともにしていましたので、義母の好きなことは覚えていました。私はそれを、今の義母の暮らしに取り入れられないかと考えました。生活の中でのリハビリにもつながるのではと期待しながら。
試したことのなかで義母が喜んだのは、家事の手伝いです。家族のために「役に立つなにか」をしていることは、生きる張りにもつながっているのでしょうね。
はじめは椅子に座ってできることから。たとえば、エビの殻をむいたり、うすいえんどうのさやから豆を取り出したりというようなことをしてもらいました。
少しの時間なら杖なしで立っていられるようになってからは、少量の食器洗いや料理の下ごしらえをしてくれるようになりました。キャベツやニンジンの千切り、ゴボウのささがきなどです。
洗濯物をたたみながら家族ごとに分けているときや、レールの溝を拭き掃除しているときの義母は、生き生きして見えます。家事の中でも、片付けや掃除が得意な人だったからだと思います。
本人に任せる
家事の手伝いは、義母のやり方でしてもらっています。私の方法と違っても。少しぐらい時間がかかっても。
始めと終わりはこちらがして、途中の作業を見守る場合もあります。たとえばレールの拭き掃除なら、お水を入れたバケツと雑巾の用意や後片付けは、私がするというようにして。
なぜこうしているかというと、介護される側の義母がマイペースで機嫌よく家事を手伝い、満足して夜もよく眠ることができれば、結局は介護する側の私もラクでいられるからです。
もう1つ義母が喜んでやっているのが、漢字や計算などのドリルです。これらは、無料でダウンロードできるものをネットで探し、年代物のプリンターで印刷して渡しています。
はじめは高齢者向けのドリルを買ってくるつもりでした。でも、義母はやりかけるとなんでも一生懸命になり過ぎる人なので、問題を選んで一枚ずつ刷り、分けて渡すようにしました。
言葉で示す・態度で教える
同居が上手くいかなくなり、「もうこの家には戻れない」と覚悟した大昔のことを思い出す日もあります。でも今は、あの頃のような雰囲気が家の中で漂うことはありません。
入浴を介助するとき、義母は必ず「ありがとう」と言ってくれます。私も義母に家事を手伝ってもらうたび、「ありがとう」と言います。介護用の風呂椅子や浴槽台を購入してからは、「いかにうまくお風呂に入れるか」が私たち共通の目標になりました。
手すりは、浴室の入り口と、縦長の湯船のまわりに付けてもらいました。
片付けや掃除、料理といった家事は、長年主婦をしてきた義母にとっていちばん身近な仕事です。介護される側になっても変わりません。義母はそのことを、50代の今の私に見せてくれているのだと思います。
原田さよ
FC2ブログ公式ブロガー。累計1350万PVを誇る大人気ブログ「さよのシンプルライフブログ」主宰。1963年生まれ。もともと片付けが苦手で、スッキリした暮らしとは程遠い毎日を送っていたが、50歳を節目に家の大片付けをはじめる。部屋が片付くにつれ、生きやすくなっていることに気付く様子を綴ったブロクが人気を集め、書籍化に至る。まもなく娘が結婚、近くに住む義母との2度目の同居も控え、コツコツと片付けを続けている。著書に『今日からだれでも、片づけ上手。モノ、迷い、重たい気持ちとサヨウナラ』(SBクリエイティブ)。