夫による家事の監視 5月某日
がんばりが伝わらなくて、悲しい気持ちになっても、努力で補えるはず。自分にそう言い聞かせてがんばった。何か1つ行動を起こすたびに、ちゃんとできているか確認しなくちゃいけないことが増えて、とてもつらい。
しかも、この努力をしたからといって、大きなプラスになるわけでもなく、収入が増えるわけでもなく、誰かに褒めてもらえるわけでもなく、「普通になれる」それだけ。
地獄だ。そんな日々を過ごしていると、次第に夫といるとハラハラするようになった。夫から、逃げるように、見つからないように、バレないように、常に何かやましいことをしているような気持ちで、家事をするようになっていった。
ある日、夫がこんなことを言い出した。
「ただっち、最近帰りが遅くなってごめんね。......さみしくない?」
さみしいどころか、うれしいけどね。だって、監視されなくて済むんだもの。
「べつに。さみしくないよ」
むしろ毎日ゆっくり帰ってきてもいいくらい。こっちだって、いろいろあるんだし。
家事もそうだけど、在宅の仕事だってあるんだ。
「......ねぇ、ただっち」
「何?」
「オレとの結婚生活、楽しい?」
正直、楽しくない。