『77歳の現役講師によるマナーの教科書 本当の幸せを手に入れるたったひとつのヒント』 (岩下宣子/主婦の友社)第5回【全18回】
知っているようで意外と知らないのが年末年始のマナー。年賀状や初詣、お年玉など、年末年始には古くからの行事や習慣、しきたりがたくさんありますが、「正しいやり方は知らない」「やっているけど理由は分からない」ということも多いはず。知らなくて恥をかいた...なんてことのないよう、年末年始のしきたりやマナーを「現代礼法研究所」主宰の岩下宣子先生に聞きました。「お正月飾り」は、いつ飾る予定ですか? 先生によると、仕事納めの後では遅い可能性もあるんだとか。ふさわしい場所とタイミングを再確認して、ただでさえ忙しい年末に慌てないようにしたいものですね。
しめ飾り、大掃除前に飾るのはタブー
お正月飾りと言えば、「しめ飾り(しめ縄)」「門松」「鏡餅」が一般的ですが、それぞれに意味と役割があります。
しめ飾りは、「神聖な場所」を表す印なので、必ず大掃除が終わってから飾ります。
「年神様はとにかくキレイ好き。明るく清潔な場所にしかいらっしゃらないので、年末の大掃除は自分や家族のためではなく、年神様を迎えるために行うものです。家全体を掃除する時間がなければ、キッチンやお風呂、トイレなどの水回りと、鏡餅を飾る部屋(リビング)だけでもお掃除すると、気持ちよく新年を迎えられるでしょう」(岩下先生)
いつ飾るかも重要で、9が付く日は「九松=苦が待つ」、特に29日は「二重苦」で縁起が悪いとされています。また、旧暦の月末にあたる30日と大晦日の31日は「一夜飾り」と言われ、一夜にして準備が整う葬儀に通ずるため、年神様の失礼にあたるので避けること。
門松や鏡餅も含めて12月26~28日の間、それが難しい場合は30日に飾りましょう。
ちなみに、お正月飾りは地域によって飾る期間が異なり、関東は1月7日、関西は15日に取り外すのが一般的。
鏡餅を食べる「鏡開き」の日も、関東は1月11日で、関西では旧暦の二十日正月にあたる1月20日に行うところもあるので、お住まいの地域の習慣に合わせるようにしましょう。
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年末は仕事も忙しいうえ、ツリーを片付けて正月飾りを出して...と、目の回るような慌ただしさ! 出し忘れのないよう、計画的に運びたいものですね。
文/さいとうあずみ