著者・うみの韻花さんインタビュー
――作品タイトルにある「絶望」と「幸せ」についてお聞きします。大学卒業後、就職しないという道を選んだ美春。その後、彼女が経験する「絶望」の描写で、特に力を入れたシーンや表現はありますか?
うみのさん:絶望する描写は、実は、私自身が絶望している姿を写真や動画に収め、それを見ながら描きました。 他にも、私自身の写真を元に描いたシーンは作中にたくさんあります。昔役者をやっていたこともあり、美春を「演じながら」撮影しました。
美春の祖母も、私の祖母がモデルです。美春と同じように、上京した私は自分の生活を優先するあまり、祖母の死に目に会えませんでした。これは今も一生後悔していることなので、それを思い出すと、動画で頭を抱えて絶望しているシーンを撮りながら涙があふれました。作中で絶望しながら泣いている美春の涙は、私が流した涙でもあります。
――執筆中に壁にぶつかったり、悩んだりしたことはありましたか? それをどのように乗り越えられましたか?
うみのさん:「港区女子」たちのファッションや身につけるブランド品の傾向など、細かく調べてたくさん描いたため、作画に思った以上に時間がかかってしまいました。

また、作品中で美春が「闇落ち」していく場面では、私自身も精神的に追い詰められた状態にしたいと思いました。その方が迫力のあるものが描けるんじゃないかと考えたからです。それで、締め切り前は1カ月外出せずに毎日15時間描いていました。常に主人公と気持ちを一体化させて描いたつもりです。
――読者の方に、この作品を通じてもっとも伝えたいメッセージは何ですか?
うみのさん:今していることや仕事が、自分の人生にとって本当に必要なもので、幸せに繋がるものなのか、もし人生に悩んで行き詰まってしまったら、たまには肩の力を抜いて、自分の人生とあらためて向き合ってみるのもいいんじゃないか、ということを伝えたいです。
本当に大切なものは、失ってからようやくその大切さに気づかされることが多いから、後悔しないためにも、読者の皆さんに本当の幸せを見つけてほしいと願っています。

――今後、作品を通して描いていきたいことを教えてください。
うみのさん:今回の作品を読んでくださった方々から、ありがたいことに感想をいただくのですが、そのほとんどが「一気読みして涙を流した」というお声でした。私の作品によって、見知らぬ誰かの心を動かし、涙を流してもらうことができた...。それを聞くたびに、この作品を全身全霊で描き切って良かったと心から思います。ですので、今後も誰かの心に響くような、メッセージ性の強い作品を作り続けていきたいです。
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これは、若さと美しさという輝きを追い求めた美春が、その先に見た「絶望」と、そこから見出す「幸せ」の物語。うみの韻花さんが全身全霊で描き切った作品は、私たちに「本当の幸せとは何か」を問いかけます。
取材・文=山上由利子




