――聡子は極悪人ではないけれど、姑としては嫁に対して無神経なふるまいばかり。自分も義母に苦しめられた過去があるのに、なぜ同じことを繰り返すのかと...。
横山:毒親の振る舞いなどが、無意識に子どもに連鎖してしまうという話をよく聞くので、こういったケースもおそらくあるのではないかと思いながら描いていました。"私がこれだけ苦しんだのだから、おまえも同じ経験をしろ"といった心理ですね。
――なるほど。聡子はシングルマザーでシュウを育て上げましたが、シュウは結婚してからも聡子の言いなりで。ユイの気持ちを理解しようともせず、不倫まで...。シュウには何が足りなかったのでしょう。
横山:シュウはなによりもパートナーへのしっかりした敬意を持つ必要があるのかな...と思います。月並みですが、家庭崩壊を防ぐためにあったほうがいいと思うのは、お互いの信頼感ですかね。相手を軽んじないことが大切だと思います。
「これからもスカッとする展開が待っています!」
――毒山家は、嫁のマリンは元ヤン風だし、ゴンは無職でパチンコ大好き。姑の虎乃も肝が据わっていて怖い存在。ですが、3人とも仲間を大切にするような人情があります。マリンの姑・虎乃のキャラはどんな想いから生まれたのですか?
横山:彼女は僕の義母がモデルになっております。髪の色はこんなにファンキーではありませんが...! 虎乃はスナックを経営していて、お金はないけどしっかりと息子のゴンに愛情を与えてきたんだろうな、というイメージで描いておりました。彼女は「こども食堂」などにも取り組んでいるという設定なので、基本的に慈愛に満ちあふれてる人なんじゃないかと思います。
――4月末に発売された2巻では、シュウとゴンが喧嘩を! ゴンはいい人ですが、顔が怖いこともあってなかなか仕事が決まりません...。この後も困った感じになるのでしょうか。
横山:ゴンは、これ以降はそんなに目立ったシーンがなかったりします...。そのうちまた描いてあげたいんですけどね! 喧嘩のシーンは、もともと格闘や喧嘩のシーンを描くのが大好きなので、すごく楽しんで描いているのが伝わってくれればいいなと思います(笑)。
――さっぱりとしているけど温かいユイとマリンのママ友関係にも注目ですね。
横山:序盤でユイがどん詰まりの状況なので、マリンは彼女の心の拠りどころになるような存在にしようと思いました。マリンにも、何かしらの変化があっても良かったかもしれませんね。
――あとがきには、読者に向けて「主婦層の方々の鬱憤が少しでも晴れたら...」と書かれていました。主婦層に寄り添ったマンガを描く理由とは...?
横山:描いているうちに主婦層の支持が強いことに気づいたので、日々の息抜きになるような作品にしようと決意しました。日常と地続きの話を描くことが最近増えてきたので、その際は読者が主人公と共感できるポイントをしっかりと作ることを大切にしております。
――続く3巻で、読者に期待してほしいことを教えてください。
横山:ユイと薬師寺家との因縁がようやく決着します。スカッとする展開が待っておりますので、ご期待ください!
取材・文=吉田あき