「東大受験して研究者になりたい!」妻の「ドリーミーな発言」に夫は?/ただの主婦が東大目指してみた

東大生なのにバカなんですね   5月某日

夫に、東大受験を反対された私は寝室で1人、ひとしきり泣いた後、スマートフォンを使って東大の悪口を必死に探していた。

どれどれ、東大大学院にロンダして、人生終わった人のブログ? 面白そうじゃないか。

 

〈東大は努力で入ってはいけない。

必死に努力して東京大学に合格すると必ず不幸になります。ああ、どうして背伸びをして入学してしまったんだろう。

そもそも東大の学部の上位層は、たいして受験勉強もせずに合格した人々。一般的に想定されるような受験勉強を経験したような、努力組はヒエラルキーの最下層に位置する事になります。

最下層に位置してしまった場合、教授からも見放され、同級生からもバカにされ。

そして何より授業についていけない。もう完全にうつです〉

 

━━ほほう、これはまさに不幸以外の何ものでもないなぁ。おっ、コメントがついてるぞ。

〈ロンダ乙www〉

〈東大生なのにバカなんですね〉

あはは、まぁそうだよねぇ。

 

一生懸命がんばって入学して、こんなふうに絶望するなんて絶対嫌だよ。私なんてどう考えても努力して入学するタイプだし、やっぱり努力だけで天才の仲間入りしようたって無理があるよね。うんうん、勢いに任せて東大受験決行しなくてホントよかった。

夫、止めてくれてありがとうね。

これだったら自分で勉強して、個人的に研究するだけのほうがよっぽどいいわ。

自分が向上するために、一念発起して、度旅行して努力して高くまで登った階段から転落しちゃったら......ただでさえ地に堕ちている自尊心が、堕ちて堕ちて、やがてマントルに到達しちゃうでしょうね。

ああ、バカバカしい。

 

そんなふうにあれこれと考えを巡らせていると、夫が部屋に入ってきた。そして、私の隣に寝転んだ。

「............」

なんだよ、わざわざ隣に来て寝るくらいなら何かしゃべってくれよ。

 

こちとらは、東大に入学して研究者になりたいとかなんとか、ドリーミーな発言しちゃってすごく恥ずかしいんだよ。


 
※本記事はただっち 著の書籍『ただの主婦が東大目指してみた』(フォレスト出版)から一部抜粋・編集しました。
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