コラム3 リコベンCHECK!
覚悟を決めたらゴールのイメージを! 離婚する? しない? 判断ポイント
よく離婚弁護士が相談を受けるのが「私は離婚すべきでしょうか?」
でも、あなたの人生はあなたが決めるもの。人生をやり直すなら、夫に対する物心両面の依存心を断ち切れるかどうかが、勝負になります。
①「夫には頼らない」と腹をくくれるか?
「結婚よりも離婚のほうがエネルギーがいる」と言われるくらいですから、離婚を決意するというのは多くの人にとって、相当に重い決断となります。ただ、なかには「離婚したい」と言いながら、依然として夫への依存を断ち切れないという人も。逆に思い立ったら行動に移してしまうようなタイプだと、「もっと慎重に動けばよかった」という結果になる場合も考えられます。
「もう夫には頼らない」と決意することは、精神的には非常に重要な区切りとなります。ただ、表立った行動に移す前には、やはり誰か信頼できる人に意見を聞いてもらうのが賢明でしょう。
とはいえ、この手の話は、十分な知識がないままイメージや偏見、聞きかじりで意見や助言をする人も多いので要注意。タピ岡ちゃんは、幸い離婚経験者であり、かつ冷静&知識が十分のようで、これからプリ子のよき助言者となってくれそうですが、それでも現実では心配が残ります。
②弁護士費用はいくらくらい?
離婚への道のりは、長く険しいもの。必要な書類や手続きは膨大だし、交渉を有利に進めるのには、専門家である弁護士の助けが効果的です。何より、自分の代わりに問題を分析して交渉の窓口になってくれる人がいると、心理的なストレスは大きく軽減されるはずです。
弁護士に支払うお金は、各法律事務所によって異なりますが、相談料が30分5500円(税込)、離婚の種類(協議・調停・訴訟)によって着手金が33~55万円(税込)、それに慰謝料請求や財産分与などの成功報酬として獲得金額の10~20%といったところが多い印象です。
確かに弁護士費用は高額ですが、弁護士に支払う費用を惜しんで、専門外の助言に従ったせいでかえってこじれたり、とれるはずのお金をとりはぐれたりるほうが、結果的にもったいないといえるでしょう。
まずは無料で法律相談をしてみたいという場合は、「法テラス」や自治体で行われている法律相談といった公的サービスを利用するのも一手です。また、初回の相談を無料で受け付けている法律事務所も多いので、複数の法律事務所に相談に行ってみて、客観的に自分自身の状況を確認してみる、というのがおすすすめです。
③決着まで最低3年はかかると覚悟する
離婚に舵を切るとなれば、やはり鍵を握るのは、経済的な準備。コラム2でも収入源の確保については触れましたが、少なくとも半年間、できれば1年間は夫からの経済的な援助がなくても生活ができるだけの準備が必要です。へそくりを貯めるでも、親を頼るでもかまいません。密かに準備を進めましょう。プリ子は100日という超スピード離婚に成功していますが、現実はそううまくいかないことのほうが多いです。離婚紛争が決着するまでには、その10倍の1000日(約3年)はかかると思っておいてください。
先立つものはやはりお金。しかし「私がガマンすればすべてOK」という家庭は果たして健全でしょうか? 自分も幸せになるために、調べて、考えて、進め!
④条件に固執しすぎると長引くことも
交渉は長期戦ですから、経済的にツラくなると、離婚したくない夫の要求に屈せざるを得ないことにもなりかねません。収入の高い配偶者は、収入の低い配偶者に対して、別居中の生活費(婚姻費用)を支払う必要がありますが、別居後に夫が生活費を支払ってくれなかったり、妻が裁判所に調停を申し立てたことに立腹して支払いをストップしたりする場合があるからです。
調停の申し立てから初回の期日までは、1ヶ月以上かかることもあります。初回期日で婚姻費用が決まればいいのですが、夫の怒りが強く、「絶対払いたくない」と徹底抗戦の構えだと、額が決まるまでに1年、1年半とかかる場合もあります。婚姻費用は、仮払いを求めることも可能ですが、夫が応じなければあてにできません。十分な蓄えと共に、収入源(仕事)も確保しておきたいところです。
とはいえ、夫との離婚交渉においては、お金のことばかり考えるとかえって解決に時間がかかってしまう場合があります。長引く条件交渉のなかで「できるだけ好条件で離婚したい」という思いが募るかもしれませんが、離婚条件には相場というものがあります。相場を知っておくことで、知らずに損をしたり、条件より多くもらえているのにもっともらおうとして交渉をこじらせたりする事態を防ぐことができます。場合によっては好条件で離婚してくれた夫に対し、感謝を感じることができるかもしれません。
⑤離婚にまつわる「相場感」は4つ
離婚にまつわる条件交渉の落とし所=相場感として知っておきたいのは、①婚姻費用・養育費、②財産分与、③慰謝料、④面会交流の4つです。
①婚姻費用・養育費
双方の年収をベースにした算定表というものがありますので、これを元に、例えば「夫が妻に月々いくら払うべきか」の目安が立てられます。
ちなみに専業主婦(主夫)は、働けない特別な事情がない限り、100~120万円の年収がある前提で計算されます。
②財産分与
別居を開始した時点でのお互いの財産を合計し、それを半分に分け合うのが原則です(※)。夫婦で増やした財産だけが対象なので、例えば夫が独身時代に築いた財産や、親から贈与されたり相続したりした財産は、分与の対象にはなりません。
③慰謝料
夫の不貞が原因で離婚となった場合でも、高くて200万円、多くは100万~150万円くらいで落ち着くことが多い印象です。「安すぎる!」と思う人もいるかもしれませんが......。
ちなみに、不貞行為以外が原因の離婚では、慰謝料が問題となること自体、少ないといえるでしょう。
④面会交流
一方の親の元にいる子どもに他方の親が会える機会ですが、これは月1回程度が相場です。「もっと増やすべきだ」という議論はありますが、現状は、これが相場です。
予め知っておきたい離婚の「相場」
婚姻費用・養育費はいくら?
▶算定表の金額を目安に
財産分与はどうなる?
▶別居時財産の2分の1
慰謝料はいくら?
▶︎配偶者の不貞が原因の場合、100万~150万円程度
面会交流はどうなる?
▶月1回程度
不満でもこの辺が落とし所。高ければ「ラッキー」と考えたほうが得策です。
※民法によると?
(財産分与)
第七百六十八条 協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。
2 前項の規定による財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、離婚の時から二年を経過したときは、この限りでない。
3 前項の場合には、家庭裁判所は、当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定める。