電子レンジ、いつも「温め機能」だけを使っていませんか? 「温め」だけなんてもったいない! 電子レンジを使えば減塩&減油調理が可能。また、少人数の料理をおいしく仕上げるのに最適なのです。料理研究家の村上祥子さんに、電子レンジを調理に活用する方法を教えてもらいました! 今回は「電子レンジってそもそも身体に悪くないの?」など、電子レンジに関するよくある素朴な疑問にお答えします。
前の記事「これは便利! にんにくの薄皮むきも簡単に。電子レンジの小技集(9)」はこちら。
電子レンジについて、詳しく知ってください。よくある疑問を解消します。
Q.電子レンジで加熱するということが、どうもよく理解できません。「体に悪くないの?」という人もいます。そのあたりを詳しく知りたいです。
A.講演会や講習会などで電子レンジの実演をすると、必ず受ける質問です。電子レンジの構造や電磁波について正しく知って使いこなしてくださいね。
マイクロ波は微弱な電磁波です
電気を発生させる方法が発明されてから200年以上が経ちます。電磁波は電気が流れるときに発生する波を描く電気の流れのことです。この波の大きさによってさまざまな電磁派の種類がありますが、電子レンジはマイクロ波という電磁波を使って加熱ができるように作られた調理器具です。
マイクロ派とかマイクロウェーブとも呼ばれる電磁波の一種は、私たちの生活に役立つさまざまなものに活用されています。
電子レンジの仕組み
電子レンジは六面を鉄でおおった箱の中にモーター(コンデンサ)を入れ、そこから電磁波(マイクロ波)を飛ばして加熱、調理します。電磁波の3つの特徴を生かして、開発されました。
〈電磁波の3つの特徴〉
1.水を含まないもの(耐熱ガラス器や樹脂容器、陶磁器)は通過する
2.水(多い少ないはありますが、食材には必ず含まれています)には吸収される
3.金属に当たるとはね返る
電子レンジの中に食材を置き、スイッチを入れます。食材に含まれる水分子の+HとOH-に電磁波の+極と-極が当たり、1秒間に24億5千万回という猛烈な回転数で水分子を揺り動かします。そうすると食材が含む水は水蒸気に変わるので、蒸す、ゆでる、煮るといった調理ができます。
安全性
電車に乗るときは、自動改札装置を通ります。この改札装置は電子レンジに使われているのと同じ電磁波を利用しています。また、スマートフォンや携帯電話も、電子レンジと同じ電磁波が使われています。テレビも、IHクッキングヒーターも同じです。いまでは電磁波は生活になくてはならない存在です。
あえて、電磁波の強いほうから挙げると、テレビ>携帯電話>IHクッキングヒーター>駅の自動改札装置>電子レンジの順となります。また、電子レンジのドアは25万回開閉しても、もれを起こさない耐久テストを受けています。電子レンジは鉄の箱の中に閉じ込めて電磁波を使いますが、テレビ、携帯電話などは全てオープンで使います。そういう意味では電磁波を心配しすぎることはないではないか、と私は考えています。
でも、ご自身が不安だと思うなら、電子レンジを使う必要はないでしょう。加熱器具は他にいくらでもありますからね。
【POINT】
ラップを外すときは、はさみを使いましょう!
レンチン調理では加熱したらすぐに取り出すことがポイントです。ラップを外すときは容器や中身も熱くなっているので、はさみでラップを切ると安全です。
村上祥子(むらかみ・さちこ)さん
管理栄養士、料理研究家。福岡県生まれ。公立大学法人福岡女子大学国際文理学部・食・健康学科客員教授。同大学内「村上祥子料理研究資料文庫」では50万点の資料が一般公開されている。これまでの著書は345冊、計740万部。