『お笑い脳 イヤなことをおもろいに変える芸人の思考法』 (芝山大補/KADOKAWA)第7回【全8回】
「人間関係の悩みは、芸人の技術によって解決できます」と話すのは、300組以上の芸人にネタを提供してきたネタ作家・芝山大補さん。それに気づいたのは「人前で話すのが怖い」と悩む女性に出会ったことがきっかけでした。その女性に対し芝山さんが伝授したのは、会話と人生が楽しくなるお笑い芸人の思考パターン。しばらくするとその女性は、人前で話すことの恐怖心がなくなったそうです。今回は芝山さんの著書『お笑い脳 イヤなことをおもろいに変える芸人の思考法』(KADOKAWA)から、どんなこともおもしろくとらえる「お笑い脳」へのアップデート方法をご紹介します。
※本記事は芝山大補著の書籍「お笑い脳 イヤなことをおもろいに変える芸人の思考法」から一部抜粋・編集しました。
会話が盛り上がらないのは〇〇があるから!?
会話が盛り上がらなかった経験ってありませんか? それはとある思い込みが原因の可能性があります。雑談を盛り上げたい場って、大抵こういうときだと思います。
・初対面の会話
・仕事先のお客さんとの会話
・商談時のアイスブレイク
しかし、こういう場ではいつもの自分のように話せないことが多いですよね。(あと気になる子との会話! あれは、なぜなんだ!!)
大抵の人は会話するときに、こんなことを意識していると思います。
・共通点を探す
・話をしっかりと聞く
・リアクションを大きくする
これも別に間違いではありません。しかしもっと重要なことがあります。
それは会話のハードルを下げることです。会話のハードル? と言われてもピンと来ない人も多いと思います。なので1から説明していきましょう。(特別やで! もう!)
まず、会話はこのような話題から話すことが多いですよね。
・お仕事、最近どんな感じですか?
・出⾝はどちらですか?
・趣味は何ですか?
しかし、これらは盛り上がりにくくしている原因になります。
なぜなら、「中身のある話」 だからです。(ここテストに出るよ〜!)
「中身のある話」とは「意味のある話」と置き換えられます。仕事や出身地や趣味を聞くのは、話題として話す意味があるように感じますよね。
ここなんです。僕たちは話す意味があるような会話をしなければ、相手に申し訳ないと思ってしまいます。しかし、その思い込みが実は自分の首をしめているわけです。
会話というのは「話す意味があるかないか」を頭の中で選択しながらできるほど、簡単ではありません。
そうした頭の中で選択をしながら話そうとすると、会話を窮屈にしていきます。結果、会話が続かずに沈黙になってしまいます。だから、沈黙に耐えられず何のメッセージも届いていないのに確認しているフリをすることに繋がるんです。(俺これ1万回はした)
これが会話のハードルを高くした結末です。(まさに悲劇)
解決方法は至って単純です。「中身のない話」をすることです。もう少し言うと「話す意味のない話」をすることです。
例えば、こんな話題はどうでしょう。
・暑いですね〜 アイス食べたくないですか?
・来るときに道にめっちゃ迷っちゃいました〜
・この近くって焼肉屋多いんですよ〜
どうでしょうか? どうでもいい話題ですよね。しかし、この「どうでもいい」が会話のハードルを低くします。自分の中で「どうでもいいと思っていること」を話すと、どんどん会話を楽に考えることができるんです。
アイデアを出す会議とかでもありません? 自分で発言するハードルを高く設定しすぎて何も言えないという状況。
そんなときは少々いい案でなくても発言していくと、「発言するハードル」が下がってアイデアをどんどん発言しやすくなります。結果、どんどんいろんなアイデアが浮かんでくるようになる。
それと同じように「最初にどうでもいいことを言う」と、次の話題を話し出すのも楽にできるようになります。
さらに、どうでもいいことを言うと他にもメリットが出てきます。
相手から「仕事の調子はどうですか!」と聞かれるのと、「暑いですね〜アイス食べたくないですか?」だと、どちらのほうが長く会話ができそうでしょうか?
大抵は後者だと思います。
つまり、どうでもいいことを言うことは、相手に「どうでもいいことを話してもいいよ」って伝えるメッセージにもなるのです。
そりゃそうですよね。相手が「アイス食べたいですよね」と言ってきたから、「僕はアイスよりもプリン派なんですよね〜」と返したのに、「何どうでもいいこと話してんねん!」とキレるやつはさすがにいないですから。
それで怒られたら「お前が最初にどうでもええこと話したんやろ」となりますからね。
「THE 誰が言うとんねん」ですよ。
つまり、中身のない話をすると結果としてお互いの会話のハードルを下げることができるということです。
思えば、仲の良い友達や家族と話すときは、勝手に「中身のない話」をしていますよね。
だから盛り上がりやすいし会話が楽に感じるのです。親に対して「盛り上げるためにはどうしたらいいんだろう」と言うやつはいないですからね。(いたらごめんやで)
このように、「どうでもいい話」は「どうでもいい(会話のハードルを下げる)」という価値があるということです。会話が盛り上がらなくて悩んでいる人は、ぜひ中身のないことを言うようにしてみてください。
でも「今日可愛い形の雲見つけたんですよ〜」「チョコレート食べたいですね〜」「さっき可愛い猫見つけたんですよ〜」なんて、どうでもいいことばかり言うてたら、「頭大丈夫か?」と思われかねないので、どうでもいい話はおり交ぜる程度にしましょうね。
【残念な脳】
意味のある話で会話を盛り上げよう!
【お笑い脳】
お互いの会話のハードルを下げるために、中身のない話をおり交ぜる