良いネタ台本のポイントとは。実生活に生かしてコミュニケーション技術を向上させよう!

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『お笑い脳 イヤなことをおもろいに変える芸人の思考法』 (芝山大補/KADOKAWA)第8回【全8回】

「人間関係の悩みは、芸人の技術によって解決できます」と話すのは、300組以上の芸人にネタを提供してきたネタ作家・芝山大補さん。それに気づいたのは「人前で話すのが怖い」と悩む女性に出会ったことがきっかけでした。その女性に対し芝山さんが伝授したのは、会話と人生が楽しくなるお笑い芸人の思考パターン。しばらくするとその女性は、人前で話すことの恐怖心がなくなったそうです。今回は芝山さんの著書『お笑い脳 イヤなことをおもろいに変える芸人の思考法』(KADOKAWA)から、どんなこともおもしろくとらえる「お笑い脳」へのアップデート方法をご紹介します。

※本記事は芝山大補著の書籍「お笑い脳 イヤなことをおもろいに変える芸人の思考法」から一部抜粋・編集しました。

良いネタ台本とは?

300組以上のお笑い芸人さんのネタ作成をしてきて、「良い台本」というのはどういうものかがわかってきました。みなさんはどのような台本だと思いますか?

僕がたどり着いた答え――

それは 「その人だからこそおもしろいという台本」 です。

もう少し説明すると「その人じゃないとできない台本」になります。「何だ、そんなことか」や「調子乗んなメガネ!」と思う人もいるでしょう。しかし、長年これに気づかずに、芸人を続けている人もいます。(昔の僕とかね、あと僕とか)

例えば、僕のネタ台本だったとして、今この本を読んでいるあなたがやってもおもしろいし、僕がやってもおもしろい、そんな台本はあまり良い台本ではないということです。

「え? ウケたらいいんじゃないの」と思うでしょうが、それでは大きな笑いは取れません。爆笑を取れる台本は、「僕がやったらウケる、だけど他の人がやったらスベる」そん
な台本です。

例えば、R‐1で優勝したハリウッドザコシショウさんのネタは彼だからウケるのであって、他の人がやればスベる可能性が大きいでしょう。ハリウッドザコシショウさんだからこそ、おもしろくなっているネタなのです。

つまり「その人だからこそおもしろい台本」というのは、「その人の人間性を最大限生かした台本」 だといえます。だから他の人は真似できないのです。

反対に、伸び悩んでいる芸人さんに多いのは、良いネタを作ろうとして、自分だからこそのネタに向き合えていない人です。(昔の俺とかね、あと俺とか)

加えて「憧れの芸人さんみたいになりたい」と真似ている人も、伸びない傾向にあります。

憧れというのは憧れであって、自分に最適ではないからです。

僕も昔はダウンタウンさんに憧れて尖った芸風でやっていましたが、てんでダメでした。しかし、ひょんなことから自分がイジられる側の人間だとわかってから、コミュニケーションに変化を加えてうまくいくようになった経験があります。(認めたくないものだな、若さゆえの過ちというのは)

だからといって憧れの人の模倣を否定するわけではありません。初めは模倣によって得られることがあると思っているぐらいです。しかし、いつまでも模倣を続けていてもその先はありません。

模倣の経験をもとに、自分にとって「どういうことが良かった」「どういうことがダメだった」というヒントを見つけて「自分」を探っていくべきです。

そう、何が言いたいのかというと、そこからは「あなただからこそというコミュニケーション」に向き合わなければいけません。 (ここからが本当のスタート。しんどいだろうけど諦めないでね)

だから、技術をやみくもに取り入れずに、「僕だから」「私だから」と選んでいくことが大切なんです。もちろん、下手な鉄砲数打ちゃ当たる作戦でいろんな技術を試して見えてくるものはあります。

しかし、それらは「自分ってどういう人」なんだろう? と考える思考がないと意味がなくなります。だから「自分を探す」という目的意識を持っていただきたいのです。

ヒントは過去にあります。

◉ どういったときに笑いが起きたのか?
イジったとき? イジられたとき? 毒舌を言ったとき?  何かに失敗したとき? ボケたとき?

◉ どういった発言をして周りを引かせてしまったか?
怖い発言? どんな怖い発言? 毒舌? 下ネタ?

こうした過去に1つ1つ向き合って、「あなたはどういうふうに見られやすい人なのか?」に仮説を立てていきます。

●他の人が下ネタを話していい空気だったのに、自分が下ネタを話したら引かれた

→清純なイメージがあるからダメなんだ

●怖い冗談を言うとウケなかった

→怖い風貌の自分が怖いことを言うと、引かせてしまうことになるんだ
(さらにそこから「そんな怖い風貌の自分が、『キティちゃんが好き』と言うと、ギャップでおもしろくなるのではないか?」まで考えられたら花丸です!)

自分を生かすためにはまず自分を知る。コミュニケーションもそこからです。

ボクシング選手も、パワータイプなのかスピードタイプなのかで、試合での立ち回りや練習は変わってきます。同じく、「自分とは何なんだろう」と自分を考えることを怠らないでほしいのです。

これからいろんな技術を伝えます。

ただ、その技術を「私のキャラだったらこうしようかな?」「私は恥ずかしくて使えない」と、自分の心で判断してほしいのです。 そうすることで、きっと「自分」という輪郭がだんだん見えてくるはずです。

今日から「あなただからこそのコミュニケーション」に向かって走り出しましょう。

それはきっとあなたの人生を楽しく生きやすくしてくれるでしょう!


【残念な脳】
いろんな技術を取り入れなきゃ! 憧れのあの人みたいに振る舞おう!

【お笑い脳】
自分を知ろう。自分だからこそのコミュニケーションをするぞ!


 
※本記事は芝山大補著の書籍「お笑い脳 イヤなことをおもろいに変える芸人の思考法」から一部抜粋・編集しました。
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