『お笑い脳 イヤなことをおもろいに変える芸人の思考法』 (芝山大補/KADOKAWA)第5回【全8回】
「人間関係の悩みは、芸人の技術によって解決できます」と話すのは、300組以上の芸人にネタを提供してきたネタ作家・芝山大補さん。それに気づいたのは「人前で話すのが怖い」と悩む女性に出会ったことがきっかけでした。その女性に対し芝山さんが伝授したのは、会話と人生が楽しくなるお笑い芸人の思考パターン。しばらくするとその女性は、人前で話すことの恐怖心がなくなったそうです。今回は芝山さんの著書『お笑い脳 イヤなことをおもろいに変える芸人の思考法』(KADOKAWA)から、どんなこともおもしろくとらえる「お笑い脳」へのアップデート方法をご紹介します。
※本記事は芝山大補著の書籍「お笑い脳 イヤなことをおもろいに変える芸人の思考法」から一部抜粋・編集しました。
売れている芸人に共通すること
仕事柄、売れ続けている芸人さんとそうではない芸人さんどちらとも仕事をしたことがあります。あるときに「売れ続けている芸人の共通点は一体何だろう」と考えました。
もちろんネタを作る能力や華なども大事です。
しかし、それは売れていない芸人さんでも持っていることもあります。そして3分ほど考えた結果(少なっ)、これかもという答えにたどり着きました。
売れ続けている芸人さんに全て共通しているのは 「サービス精神がある」 です。
サービス精神とは、「人を喜ばせようとする心」 という意味です。
例えば、『すべらない話』という番組があります。芸人が集まって自信のあるおもしろいトークをするという番組です。なので、必ず聞き手に回るときがあります。
大抵の視聴者の方は、芸人の話し方や話の内容に注目しますが、同業者は話を聞いている姿にも注目します。(プロってすごいでしょ?)
その番組でレギュラーといっていいほど出演している千原ジュニアさんは、誰もが認めるトークのスペシャリストでしょう。しかし、僕がジュニアさんのトーク以上に注目しているのが、話を聞いているときの「合いの手」や「リアクション」 です。
それはジュニアさんがその場の誰よりも、「話し手の人がどうしたら話しやすいか?」を考えているからの行動だと思います。自分が話し終えたら「他の人の話はどうでもいい」そんな心が微塵もないことがわかります。
他にも、友達のテレビの編集マンが、ある芸人さんのことをとても評価していました。
僕は、その芸人さんのすごさを理解しておらず「意外だ」と言うと、その編集マンは「その芸人さんのすごさは一緒に仕事をした人にしかわからない」と言うのです。
詳しく聞いたところ、その芸人さんは収録中に、動画を編集する人の気持ちを考えてトークを回すそうです。
例えば、ゲストのトークに取れ高がなさそうだと感じたら、さらに話を引き出そうとしたり、編集が「使えない」と判断するだろうと感じるときは、サラッと流して次の話に移ったりと、編集する人の仕事が楽になるようにMCをしています。
もしも取れ高のために話を変えたり引き出したりしなければ、使えないトークを無駄に確認する時間が長くなり、盛り上がらなかったトークをどうにか工夫して放送しなければいけなくなります。編集の苦労が増えますよね。
こうしたことまで考えてMCができるというのは素晴らしいことです。(僕もできるようになりたい)この芸人さんはこういう人のためになることを重ねていき、今やテレビに引っ張りだこです。(誰か知りたい? 内緒〜!)
こうした技術は「サービス精神」から生まれるものです。
この本では、様々なコミュニケーションの技術を教えていきます。しかし、その根本には「サービス精神」が必要だということを、忘れないようにしていただきたいのです。
「自分だけが」「自分さえ目立てたら」なんて自己中心的な人が、お伝えする技術を使っても大した効果は得られません。
サービス精神から素晴らしい行動が生まれるように、自己中心的な気持ちはこうした行動が生まれます。
・人の話を取る
・自分ばっかり話す
・人の話になると聞こうとしない
このことからもわかるように、技術うんぬんの前に「人のために」と考えられるように
なることがコミュ力を高める近道です。