最もよく見るのは、玉状に咲く西洋アジサイ。
アジサイのシーズンがやってきました。見頃は6月上旬から7月上旬。実は、アジサイは日本原産で、日なたが好きな植物なのです。知らなかったアジサイの秘密に迫ってみました。
不思議その1
日本原産、なのによく見るアジサイは逆輸入!
よく目にする玉状に咲くアジサイは、日本固有種のガクアジサイが江戸時代後期にヨーロッパに渡り、品種改良されていまのような西洋アジサイになったもの。それが明治時代に逆輸入され、日本全国に広がりました。
アジサイと呼ばれるものは、日本原産のガクアジサイとヤマアジサイ、それと西洋アジサイ(ハイドランジア)の3系統に大きく分けられます。
ヤマアジサイ
ガクアジサイ
不思議その2
意外!? 本来は日なたが好き
アジサイは日陰、という印象がありますが、実は日なたを好みます。ただ、日陰でも花を咲かせる数少ない植物なので、いろいろな場所に植えられました。特に根を深く複雑に絡ませて張るので、山の斜面の土砂流出を防ぐためにもよく使われます。
このため、全国の山やお寺の斜面などに植えられ、日本原産なので土壌も合うため管理しなくてもよく育ち、津々浦々まで広がった背景があります。
山の土砂流出を防ぐアジサイ
不思議その3
花として楽しんでいるのは実はガク
花と思っている部分は本来はガクで、正式には装飾花と呼ばれます。西洋アジサイの花はガクの根元のところに小さくあって、ほとんど目にすることはありません。ガクアジサイは周りがガクで中央部のつぼみ状のものが花です。江戸時代には日陰で咲く幽霊花として、あまり好まれませんでしたが、西洋アジサイが広がるのとともに梅雨を彩る花として親しまれています。
花に見えている部分が、ガクです
不思議その4
最近、都心部では赤いアジサイが増えている!?
酸性土壌が多い日本ではアジサイの持っている赤い色素(アントシアニン)が出にくいため、日本のアジサイは青色です。アルカリ土壌のヨーロッパでは同じ品種でも赤くなることが多いです。赤や白い品種は土壌に左右されず、その色が出ます。
近年都心部ではコンクリート建築が増え、土壌がアルカリ性に傾いて赤いアジサイが増えた、といわれています。また、花色が薄黄緑~白~青~赤紫と七変化していく様もアジサイの魅力の一つです。
アジサイといえば青のイメージは日本ならでは。ヨーロッパでは赤が主流。
9万株のアジサイが咲き誇る
国営昭和記念公園
品種改良が盛んで数多くの品種があり、さまざまな種類のアジサイが6月から順次見頃を迎えます。見どころは、やはり雨にぬれたアジサイ。園内のアジサイロードでは華やかな梅雨の散策を楽しむことができます。
左上からアジサイジャパーニュミカコ、ヤマアジサイクレナイ、黒軸アジサイ、ガクアジサイ城ケ崎
住所 東京都立川市緑町3173
電話 042-528-1751
時間 9:30~17:00
料金 大人450円 シルバー(65歳以上)210 円
交通 JR 立川駅より徒歩約15分
取材・文/石井美佐 取材・写真協力/国営昭和記念公園管理センター植物グループ 大山雅也