5月過ぎから夏前までは、山菜採りのハイシーズンとなります。タラの芽やコゴメ、ワラビやミョウガの芽など、独特な風味の山菜を新鮮なまま楽しめるのですから、愛好者が多いのも納得です。気軽に行けそうな山菜採りですが、山に分け入るのであればそれなりの準備は必要です。お腹を壊したり、事故に遭ったりすることのないように、山菜採りのコツと3つの注意点をご紹介します。
せっかくの山菜で食中毒!? まずは熟練者と行きましょう
爽やかな緑に囲まれた山道を、山菜を見つけながらゆっくりと歩く。山菜採りは健康にも良いし、自分で採った季節の味を無料で楽しめるのですから最高ですね。難しい技術や特別な装備は必要ないと言われていますが、食べられる山菜とそうでない山菜は、ちゃんと見分けないと食中毒の危険があります。
よく間違えてしまうのが、見た目の似ている山菜です。行者ニンニクとスイセン、ヨモギとトリカブト、セリとドクゼリなどは、初心者では判別しにくいと言われています(※いずれも後者が毒性を持ちます)。キノコも毒のあるものとそうでないものの判別は、知識がないと難しそうです。
初めて山菜採りに行くのであれば、山菜採りに慣れていて、植物の知識が豊富な方と行くのが良いでしょう。山菜採りの同好会などもあるようですから、最初はリーダーの方にいろいろと教えていただくのがベストかもしれません。
山菜採りも登山です! 最低限の準備はしておきましょう
慣れてきたらご夫婦や家族で行くこともあるかもしれませんが、特に注意すべき点があります。遭難などの事故や、危険な動植物に対する備えです。警察庁生活安全局地域課がまとめた「平成28年における山岳遭難の概況」によれば、遭難者全体のうち登山目的が71.7%、続いて山菜・茸採り目的が13.2%を占めています。遭難の原因は道迷いが38.1%、あとは滑落、転倒と続きます。
目的が山菜採りといっても、山に立ち入ることに変わりはありません。登山に最低限必要な装備をして、無理のない計画を立てるべきでしょう。以下の3つは、特に大事なポイントです。
1.家族に行き先・計画を知らせておく
2.単独ではなく、なるべく複数で行く
3.通信手段(携帯電話など)やラジオ、水、非常食を携行する
また、登山道からそれて山菜を探すことを考えると、危険な動植物に対する備えも必要です。山で遭遇する危険な動植物には以下のようなものがあります。
・虫(マダニ、蚊、ハチ、ヤマビル)
・植物(ヤマウルシ、ハゼノキ、ヌルデ)
虫や植物に対する備えとしては、防虫スプレーやなるべく肌の露出が少ない服装を選び、常に軍手をしておくのが有効です。クマやイノシシについては熊鈴やラジオで常に音を出したり、「熊に注意!」の看板がある場所には立ち入らないなど、まずは遭遇しない工夫が必要ですね。
山菜採りに限らず、出かけたら無事に帰るのがレジャーの基本ですよね。まずは安全第一! 天候が悪くなりそうだったら、勇気を持って延期しましょう。少しでも体調が悪くなったら、すぐに中止しましょう。笑顔で帰宅することが何よりのおみやげです。
文/長田 小猛