リーアム・ニーソンインタビュー(2)60代でキレキレのアクションを披露。その秘訣は? 映画『トレイン・ミッション』

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家に帰る通勤電車の中で、見知らぬ女性に持ちかけられた大金絡みの怪しい話。それは巨額の報酬と引き替えに、車内に紛れている"ある人物"を探し出すというもの。半信半疑のまま、危険なゲームに巻き込まれてしまった主人公のマイケル。制限時間は列車が終点に到着するまでの数時間。元警官である彼は、長年の直感と身のこなしで、この謎を解決できるのかーー!?映画『トレイン・ミッション』でマイケルを演じたリーアム・ニーソンさんのインタビュー、続きます。

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年齢を重ねて変化してきたことは?

――"ある人物"の正体がわかった時にマイケルが下した決断。ああいうシーンにリーアムさんが演じる意味があるというか、人間的な温かみや誠実さが感じられてジーンとします。年齢とともに演技に対する考え方が変わってきたところはありますか?

リーアム 歳を重ねるに連れ、よりシンプルに演じるようになってきました。ミニマムな演技で、最大限の効果を出せたらと思うんです。大げさに伝えなくても、観客の皆さんは自分たちでギャップを埋めてくれると信じているんですね。20年前だったら、もっと見せないと伝わらないと思っていたと思うんだけど、いまはもっと引いて、抑えた演技ができるようになってきたのかなと。なるべくシンプルにね。今、この年齢(65歳)になったから、より観客の皆さんを信頼できるようになったんだと思います。

 

――これまでの作品の中で、例えばシチュエーションがちょっと現実離れした作品でも、リーアムさんが演じることで何ともいえないリアリティが生まれます。

リーアム 脚本家が書いた台詞が、自分の口から真実として出るようにといつも思っています。心からキャラクターがそう言っているんだと観客の皆さんに自然と信じてもらえるように。それが映画の演技の核ですね。役者さんによっては声色を変えたり、鼻を付けたり、そういうことで演技を変えようとする人もいますが、僕はそういうやり方には興味ないですね。

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元警官のマイケルが、たまたま乗り合わせた乗客と共に難局を切り抜けていくーー。リーアム・ニーソンが演じると、単なるアクション映画以上の深みが生まれます。

 

キレキレのアクション
体力維持の秘密とは?

――アクション・シーンも見応えがありました。

リーアム 闘っているシーンは自分でやっていますが、車両から車両へ飛ぶシーンみたいな、一般的にスタントマンの分野であるシーンは、スタントマンに任せるようにしています。そこはプロの領域だしね。以前、共演者が樽に入ったまま丘を転がるシーンを自分でやると言い出したことがあって、なんてバカなことを言うんだろうと思ったんだけど(笑)。もし何かあれば、そこで製作が中断されてしまうし、余計なお金もかかってしまいますよね。映画作りはチームワークですから、そういう危険な場面はプロフェッショナルなスタントマンに任せるべきだというのが、僕の役者としてのスタンスです。

 

――闘うシーンはご自身でなさるということでしたが。

リーアム そこはキャラクターのパーソナルな、人柄を表す部分だから。キャラクターを表現するのに役立つ部分だし、ファイト・シーンは相手役との親密な作業でもあるしね。特に今回のような狭い空間の中で起こるファイト・シーンは特別なものだから、他の人に任せることは考えられないですね。

 

――プロフィールを拝見すると、ボクシングをやっていらっしゃったそうですね。

リーアム 若い頃にね。今回の場合でいえば、映画のスタント・チームだけど、闘う相手をリスペクトすることや日々の鍛錬、そういうところはボクシングから学んだところかもしれないですね。こういうアクションを撮る時は、目を閉じていてもできるぐらい何度も何度もリハーサルするんです。それでカメラが回った瞬間、初めてそのアクションをしたかのように演じる。これがポイントです。

リーアム・ニーソンインタビュー(2)60代でキレキレのアクションを披露。その秘訣は? 映画『トレイン・ミッション』 TM04.jpg実際のリーアムさんは身長190センチを優に越えます。その長身から繰り出されるアクション、迫力あります。

 

――現在65歳だそうですが、キレキレのアクションを披露されています。日頃から、心がけていることはありますか?

リーアム 撮影中は毎朝、セットに行く前にジムで45分間のトレーニングをしていました。毎日、その日の撮影が終わると、スタント・コーディネーターのマーク(パンセロウ)やスタントマンと何度もリハーサルをするんです。そうしないと怪我をするから。そういう作業も楽しかったですね。今朝もワークアウト用の自転車をこいで、軽く汗を流してきたよ。

 

――最後に、列車が舞台の映画ですが、何か思い出はありますか?

リーアム 僕の祖父が蒸気機関車の運転士だったんです。その後、電車の時代になっても、ずっと50年間、運転士として働き続けたんですよ。バイキングが最初にアイルランドに降り立ったウォーター・フルーツという場所があるんだけど、その駅に母が5~6歳の僕を祖父に会わせに連れていってくれたんです。

 

素敵な思い出ですね。

リーアム 蒸気機関車だから、ものすごい量の蒸気が出るでしょう。その中から祖父がホームに降り立つ様子が、雲間から地上に降り立つゼウスのようだったんです(笑)。忘れられない光景ですね。実は今回、舞台となった路線は、ニューヨークの北の方にある家に行く時によく乗る列車なんです。でも、撮影はロンドンで、しかもスタジオで撮っているというオチがつきました(笑)。列車が舞台の作品なので、皆さんにも約2時間の旅を楽しんでいただきたいですね。

 

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リーアム・ニーソン

1952年、北アイルランド生まれ。『シンドラーのリスト』(93)や『マイケル・コリンズ』(96)、『愛についてのキンゼイ・リポート』(04)などの作品で、演技派俳優として国際的に高く評価される。08年に1本目が製作された『96時間』シリーズ以降、アクション映画にも積極的に主演、新境地を見せる。近年の作品に『沈黙-サイレンス-』(16)『Widows』(18)など。

『トレイン・ミッション』

3月30日(金)より全国公開

監督:ジャウマ・コレット=セラ 

出演:リーアム・ニーソン、ヴェラ・ファーミガ、パトリック・ウィルソンほか 

配給:ギャガ 2018年 アメリカ・イギリス 105分

© STUDIOCANAL S.A.S.

 

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