リーアム・ニーソンインタビュー(1)「普通の男」を演じた最新作『トレイン・ミッション』の魅力とは?

TM01.jpg日本にもファンの多い名優リーアム・ニーソン。『スターウォーズ』シリーズのクワイ・ガン=ジン役のシブイ演技でもおなじみです。『シンドラーのリスト』(93)や『マイケル・コリンズ』(96)などのシリアスな演技はもちろんのこと、カナダの巨匠アトム・エゴヤンの『クロエ』(09)ではセクシーな魅力を見せ、『96時間』(08)以降はアクション作品にも次々に主演。どんなジャンルのどんな役を演じても、彼ならではの人間味豊かな説得力があります。最新作は列車を舞台にしたサスペンス・アクション『トレイン・ミッション』。いつも乗る通勤電車が終点に着くまでの数時間で、100人の乗客の中から "ある人物"を探し出せーー。普通の男が思わず乗ってしまった危険なミッションの行方は...!?


『トレイン・ミッション』の細部まで行き届いた面白さとは?

――『トレイン・ミッション』の主人公マイケルは、通勤電車の中で危険なゲームに巻き込まれてしまいます。その謎解きの心理戦や、迫力のアクションが面白いのはもちろんですが、『蠅の王』(注1)や『嵐が丘』(注2)などの文学作品が物語を象徴するアイテムとして描かれていたり、同じ電車に乗り合わせた人種やバックグラウンドの違う人たちが細やかに描かれていたり、細部も丁寧に描かれていて深みのある作品ですね。

リーアム ありがとう(日本語で)。僕もこの映画に、そういう魅力を感じています。それはジャウマ監督の作品だからこそですね。一人ひとりの乗客が立体的に描かれていて、彼らの人物像まで掘り下げて描かれているから、列車の中の"ある人物"を探し出さなければいミッションを課されたマイケルと一緒に、「この人はどんな人なんだろう」「この人が"ある人物"かもしれない」「いや、この人は違う」と一人ひとりに対して思える。どこか惹かれるものがそれぞれのキャラクターにあるから、映画が豊かで深みのあるものになっているんだと思います。

 


TM06.jpgリーアム・ニーソン演じるマイケル(右)と、彼に危険なゲームを持ちかけるヴェラ・ファーミガ演じるジョアンナ

 
――ジャウマ・コレット=セラ監督とは2011年の『アンノウン』に始まり、『フライト・ゲーム』(14)など、今回が4作目のタッグです。

リーアム 彼は類い稀なる監督。ああいう人は少ないですね。どんなシーンを撮っていても、作品全体のダイナミズムが頭の中に入っていて、全体像が見えているんです。だから、僕も彼に100%の信頼を置いているし、彼も僕に対してそう思ってくれている。一緒にやるたびに良くなっていくし、事前に脚本について深く話し合ったりしなくても、感性の面で合うから、やっていてすごく楽しいんです。今回は列車の中だけで物語が展開していくので、より熱い現場でしたね。元々、綿密に準備して撮影する監督なんだけど、今回は本当に細かいところまで準備をしないといけなかったから。

 

――とおっしゃると?

リーアム 映画に出てくる列車は7車両あるんだけど、実は95%はスタジオの中の一車両と少しのセットで撮影しているんです。その日の撮影が終わると、美術スタッフが翌日の撮影用に、その車両を2番目の車両、3番目の車両という風に作り替えて、エキストラも配置換えして。そこが大変でした。実際はセットだから、列車は動いていないんだけど、撮影監督のポール・キャメロンさんが光を駆使して、スピード感たっぷりに実際に疾走しているように見せてくれているんです。


TM05.jpg怪しい話を持ちかけられたマイケルが、列車内に隠されている大金の報酬を思わず見つけてしまうシーン。この行動から、有無を言わさず、彼はゲームに巻き込まれてしまうーー

 
普通の男を演じることが面白い

――『96時間』(08)以降、アクションもののご出演が多いですね。例えば、『96時間』の主人公は敵をどんどん倒していく強いキャラクターでしたが、今回はより普通の男に近いキャラクターという気がします。

リーアム でも、『96時間』の男も普通の男じゃない? 人よりちょっと特別なスキルを持っているけど(笑)。普通の男を演じるのは面白いんです。観客の皆さんも、普通の男の方が共感しやすいでしょう。演じる側としても、普通の男と思わせておいて、途中で裏切ったりする面白さがありますから。

 

――主人公のマイケルは家族のために危険な仕事である警官を辞め、その後10年間、真面目に務めてきた保険会社を解雇されたばかり。その帰りの列車で、この事件に遭遇します。

リーアム そんな状況のマイケルが、ジョアンナという謎の女性と車内で出会って、列車が終点に着くまでに、"ある人物"を探し出したら、大金の報酬が手に入るという怪しげな話を持ちかけられる。マイケルが普通の男だからこそ、観客の皆さんは自分ならどうする?と思うだろうし、彼がうっかりこの話に乗ってしまうところも、マイケルに共感しているからこそ、わかる!と思ってもらえると思うんです。

 

――そんな話に乗ったことから、マイケルはエライ目に遭いますが......。

リーアム そうですね。そこから犯罪に巻き込まれて、とんでもない事件を解決しなければならなくなってしまうんだけど(笑)。マイケルはそんなに高齢でもないのに、年齢を理由に突然の解雇を言い渡されてしまう。理不尽ですよね。でも、同じ経験をしている人が世の中にはたくさんいると思うんです。そういう普通の役を演じられたことがよかったし、いい経験になりました。

注1:英国の作家、ウィリアム・ゴールディングの小説。
注2:英国の作家、エミリー・ブロンテの小説。

取材・文/多賀谷浩子

 

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リーアム・ニーソン

1952年、北アイルランド生まれ。『シンドラーのリスト』(93)や『マイケル・コリンズ』(96)、『愛についてのキンゼイ・リポート』(04)などの作品で、演技派俳優として国際的に高く評価される。08年に1本目が製作された『96時間』シリーズ以降、アクション映画にも積極的に主演、新境地を見せる。近年の作品に『沈黙-サイレンス-』(16)『Widows』(18)など。

『トレイン・ミッション』

3月30日(金)より全国公開

監督:ジャウマ・コレット=セラ 

出演:リーアム・ニーソン、ヴェラ・ファーミガ、パトリック・ウィルソンほか 

配給:ギャガ 2018年 アメリカ・イギリス 105分

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