きものを手ぬいでリフォームすることを提案している高橋恵美子さんによる「きものリフォーム」。今回は銘仙のきもの地を使って春先に着たいコートを作ります。
細い絹糸で織られた銘仙は、軽いのに暖か
今回ご紹介するコートのきもの地は銘仙。以前からこの素材のファンだという高橋さんが、自身のコレクションの中の一枚で作ってくれました。
銘仙はもともと大正から昭和初期にかけて大流行したきものです。経糸に柄をつけ、その後から無地の緯糸を密度濃く織り込んでいく、独特の「ほぐし織り」という手法で作られます。大きな花柄や鮮やかな色の縞など大胆な柄が特徴で、当時は最先端のファッションだったそうです。
「若い女性たちがおしゃれな普段着として愛していたんですよ。コートは、世界に一つの色柄が生きるシンプルなデザイン。見た目より軽いのに、とても暖かいから、春を待ついまの季節にぴったりです」
ロングカーディガンのようにさらりと羽織ってもすてき
人の動きに合わせて裾が揺れると、裏地が見え隠れ。きものについていた八掛(はっかけ)をそのまま生かしています。
BEFORE AFTER
きものの形を生かして作りましょう
丁寧にぬわれているきもののぬい目を、最大限に生かす...。それが高橋さんの提案する〝ほどかない〞リフォーム。写真のように袖下と裾を裏地をつけたままカットし、衿をプラスするだけで簡単に作れます。
シンプルなコートのアクセントは大きな衿。ボタンを留めても開けてもすてきです。
スマホやお財布がすっぽり入る、便利なポケットつきです。
作り方は『毎日が発見』2017年2月号「きものリフォーム」で詳しく解説しています。
高橋恵美子(たかはし・えみこ)さん
1954年、東京青山生まれ。初めて手作りする人のための、易しい手ぬいを提案し40周年を迎えた。「日本手ぬい普及協会」主宰。きものリフォームから洋服の手作りまで、さまざまなテーマの著書は100冊以上。