マジック17「2人の相性はバッチリ! ミラクルフォー」とは?
一組のトランプを、マジシャンと観客が半分ずつ持ちます。2人ともテーブルの下に手を回し、手探りで2枚を抜き出して交換します。交換した2枚を手持ちの束に裏向きに差し込んでおき、テーブルから出します。2人で同時にトランプを広げると、なんと選んだ4枚はすべて同じ数字です!
●演技時間・・・約3分
準備トランプ1組の一番上に、4枚の同じ数字のトランプを揃えておきます。ここでは、4枚の7とします。トランプを箱に入れて準備完了です。
1「2人で一緒にするマジックをお見せしますね。このマジックの成功の鍵を握るのは、2人の相性です」トランプ1組を箱から取り出して観客に渡します。上から半分くらい持ち上げて、演者に渡してもらいます。受け取った半分の束の一番上には、準備しておいた4枚の7があります。
2「ここからは2人で同じ動きをしていきます。まず、トランプをテーブルの下に持っていってください」これ以降も観客への指示が多いので、いっぺんに説明せずに、少しずつ分けて指示するようにしましょう。
3「手探りで2枚だけ抜き出して、テーブルに置いてください」と指示します。観客は本当に手探りでランダムな2枚を抜き出しますが、演者は持っている束の一番上にある2枚の7を取ります。
4「では、テーブルの下で持っている束をひっくり返して、数字の面が上になるようにしましょう」と指示し、実際にそのようにします。
5先ほどテーブルに出した2枚のペアを交換します。「では、その2枚を、手元の束に裏向きのまま差し込んでください」観客は演者が渡した2枚の7を、手元の束に裏向きに差し込みますが、演者は違う動作をします。まず、受け取った2枚(ランダムなカード)を表向きにして手持ちの束に載せてしまいます。
6一番底に残っている2枚の7を抜き出して、適当な位置に裏向きに差し込みます。
72人ともテーブルの上にトランプの束を出し、トランプを広げていきます。すると、それぞれの束の中に2枚ずつ裏向きのカードがあります。「では、確認してみましょう。まずどちらかのカードを取って、同時に表向きにしましょう」2人とも、裏向きのトランプのうちどちらか1枚を「せーの、ドン!」などとタイミングを合わせ同時に表返し、同じ7の札であることを確認します。さらにもう1枚ずつ残っているカードも同様にして表向きにし、こちらも同じ7であることを確認します。「私たち、相性バッチリですね!」
【魅せ方のポイント1】
全体像を先に伝える
このマジックでは、観客に「○○してください」という指示が非常に多くなっています。しかも、それがマジックのタネの都合に過ぎない、一見意味のない作業なので、ただそれに延々と従うのは観客にとって苦痛となってしまいます。そこで、作業を始める前に、これから行う作業の全体像を把握してもらうのです。「ここからは2人で同じ動きをしていきます」と宣言し、私も一緒にやるから大丈夫ということを暗に観客に伝えて寄り添っています。いきなり無味乾燥な指示の羅列をするより、観客は協力的になってくれるはずです。また、2人で同じ動作をすることで観客が操作を間違えにくくなります。
【魅せ方のポイント2】
ピークのタイミングを絞り込む
最後にトランプが一致していることを示すとき、今回の解説では「せーの」で同時に表向きにする、というプレゼンテーションを採用しました。この工夫だけで劇的に見え、特別なことが起きた感じが強まります。さらに、その場に他の観客がいる場合は、見逃してはいけない瞬間が分かりやすくなり、全員が同時に驚けます。ピークのタイミングを絞り込むことで、場を盛り上げることが出来るのです。
日向 大祐(ひゅうが・だいすけ)
マジックエアリスト。東京大学工学部卒、同学大学院環境学専攻修士。観客の目の前で見せるクロースアップマジックを中心に、会員制レストランや企業パーティー等で活躍。2009年、イギリスで開催された「Blackpool Magic Convention」にて優勝、日本人初の欧州チャンピオンに輝く。同年、マジックのオリンピック「FISM」日本代表。
ちょっとした「タネと仕掛け」で絶対盛り上がる手品を21個収録。マジックを成功させるのに必要な「人の心をつかむコツ」などもしっかり解説。誰でもすぐに実践できます!