マジック19「直感、鋭いですか? ジェミニツインズ」とは?
マジシャンがあらかじめ2枚のトランプを抜き出します。トランプをテーブルに配っていき観客がストップをかけたところに、最初に分けたトランプを表向きに挟みます。同じことをもう一度行い、広げると、挟んだカードの隣にはそれぞれ、色と数字が同じトランプがあるのです!
●演技時間・・・約2分
1トランプの表を自分に向けてファンを広げます。まず一番上と一番下のトランプを確認します(写真では、ダイヤの10とスペードの2)。そして、一番上のトランプと色と数字が同じトランプ(ハートの10)を探し、抜き出してテーブルに置きます。※以下、色と数字が同じトランプのことを「メイトカード」と呼びます。
2同様に、一番下のトランプ(スペードの2)のメイトカード(クラブの2)を探して抜き出し、先ほどのハートの10の上に置きます。一番上のトランプのメイトカード→一番下のトランプのメイトカード、の順で取り出して重ねて置いておくと、あとで間違いを防ぐことが出来ます。
3観客に向かって「直感は鋭いほうですか? 実は、このマジックはあなたの直感が成功のカギを握っています」と言います。
4トランプを左手に裏向きに持ちます。「このようにしてテーブルに1枚ずつ配っていきますので......」と言いながら配り始めます。「お好きなところで『ストップ』と言ってください」
5観客が「ストップ」と言ったら、分けておいた2枚のうち上の方(ここではクラブの2)を取り、配った山の上にのせます。1、2さえ間違わなければ、ここで迷うことはなく、自然と正しい方を取るはずです。
6左手に残ったトランプを右手で取り、山の上に重ねます。この操作で、スペードの2がクラブの2の隣に来ます。
7再びトランプを左手に揃えて持ち、上から1枚ずつ配っていきます。配り始めてから「またお好きなところで『ストップ』と言ってください」と観客に言います。
8ストップと言われたら、2枚目のトランプを山の上にのせ、残りのトランプをその上に重ねます。
9トランプをテーブル上に、左から右に広げます。表向きのトランプが2枚見えるはずです。
10表向きのトランプの右隣のトランプを、それぞれ一緒に抜き出します。
11抜き出したトランプを表向きにすると、それぞれ色と数字が一致しています!
※このマジックは、事前にトランプを観客に混ぜてもらってからでも始められますので、重宝します。たとえば、準備が必要なトランプマジックをしようとしたときに、観客から「トランプを混ぜてもいい?」と言われたら、混ぜさせてから、このマジックを演じてください。
【魅せ方のポイント1】
ミスの起きにくい段取りをしておく
観客に「ストップ」と言われてトランプを挟むとき、どちらが先に挟むトランプか迷っていると非常に怪しく見えます。そこで、②の時点で2枚を重ねてテーブルに置いておくのです。こうすれば自然と上に重なっているほうを取りますので、迷わずにすみます。
間違いのもとになる要素は事前に極力減らしておくことです。そういった要素に脳内リソースを割かなくてよい分、プレゼンテーションに集中できます。
【魅せ方のポイント2】
「気を引くセリフ」で始める
このマジックでは、最初に「直感は鋭いですか? 実はこのマジックはあなたの直感が成功のカギを握っています」と、観客の興味を引き出すための言葉を投げかけています。これを「エモーショナル・フック」と言います。いわゆる「つかみ」です。直感は鋭いですか? という質問に「はい」と観客が答えたら「頼もしい。では試してみましょう」と反応し、「いいえ」と答えたら「そうですか。でも、ちょっとトレーニングのつもりで試してみません?」と反応します。このマジックに対する興味を最後まで保つための重要なやり取りとなります。
日向 大祐(ひゅうが・だいすけ)
マジックエアリスト。東京大学工学部卒、同学大学院環境学専攻修士。観客の目の前で見せるクロースアップマジックを中心に、会員制レストランや企業パーティー等で活躍。2009年、イギリスで開催された「Blackpool Magic Convention」にて優勝、日本人初の欧州チャンピオンに輝く。同年、マジックのオリンピック「FISM」日本代表。
(日向大介/KADOKAWA)
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