マジック16「ハズレ? と思いきや...... ひっくり返るトランプ」とは?
選んだトランプを、一組の中ほどに戻します。おまじないをかけてトランプを広げると、スペードの5が表向きになっていますが、選んだトランプではありません。しかし、スペードの5の隣から5枚配っていくと、選んだトランプが現れます。
●演技時間・・・約2分
マジック16「ハズレ? と思いきや...... ひっくり返るトランプ」のタネあかし
準備トランプの下から5枚目に、5のトランプ(マークは何でも構いません)を1枚、表向きに入れておきます。
1トランプ1組を両手に広げ、観客に「1枚選んでください」と言います。このときに下のほうまで広げてしまうと準備しておいた5のトランプが見えてしまいますので、広げすぎないように注意してください。
観客がトランプを選んだら「まず、そのトランプのマークと数字をしっかり見て覚えてください」と言います。
2観客がトランプを覚えたら、トランプの上半分を右手で持ち上げてテーブルに置き「この上に戻してください」と言います。
3観客がテーブルの山の上にトランプを置いたら、手元に残っている下半分の束をその上に重ねます。こうすることで、観客の選んだトランプの5枚上に、用意しておいた「表向きの5のトランプ」がくることになります。
4おまじない(トランプを弾く動作など)をかけます。トランプをテーブル上に、左から右に向かって広げると、1枚だけ5のトランプが表向きになっています。
観客が5のトランプを見たことを確認してから「スペードの5です」と言います。ここで観客から何らかの反応があるはずです。中には「違います」と指摘してくる人もいるでしょうし、黙ってしまう人もいるでしょう。
5少しだけ間を置いてから、続けます。「これが選んだトランプというわけではないですよ。実はこのスペードの5は、ヒントなんです。あなたが選んだトランプの場所を教えてくれます」
スペードの5より左側に広がっているトランプを集め、揃えて左手に持ちます。
6「ヒントのカードが『5』ですから、5枚配ります」
左手のトランプから4枚をテーブルにゆっくりと配り、5枚目を右手に取ります。
表を自分側に向けて何のトランプか確認してから「覚えたトランプは何でしたか?」と聞きます。
観客が答えたら、ゆっくりと表を観客側に向け、当たっていることを示します。
【魅せ方のポイント1】
手続きを分けて伝える
自分にとっては言い慣れたフレーズ、やり慣れた手続きであっても、相手にとっては初めての経験です。いっぺんに先のことまで伝えて、相手を混乱させていませんか? 自分の説明を相手がどんな風に受け取っているのか、想像力を働かせてみましょう。
たとえばトランプを選ばせるマジックでは、トランプを選ばせてから戻すまでの指示を、1つずつ分けて伝えたほうがよいでしょう。くれぐれも「トランプを1枚選んで、マークと数字を覚えて、ここに戻してください」などと、いっぺんに言わないように。観客は混乱して、最悪の場合選んだトランプが何だったか忘れてしまうこともあります。
一つ一つの手続きを丁寧に進めましょう。観客がきちんとついてきているのか、相手の呼吸を感じ取る余裕がほしいところです。
【魅せ方のポイント2】
先にコールさせる
トランプを当てるタイプのマジックでは、観客のトランプを示す前に必ず「覚えたトランプは何でしたか?」と聞き、答えてもらいましょう。その観客が答えてくれれば、周りのお客様も覚えたトランプが何かを認識できて、当たっていた場合の反応が非常に良くなります。また、万が一失敗していたときにもすぐに気づくことが出来ます。
日向 大祐(ひゅうが・だいすけ)
マジックエアリスト。東京大学工学部卒、同学大学院環境学専攻修士。観客の目の前で見せるクロースアップマジックを中心に、会員制レストランや企業パーティー等で活躍。2009年、イギリスで開催された「Blackpool Magic Convention」にて優勝、日本人初の欧州チャンピオンに輝く。同年、マジックのオリンピック「FISM」日本代表。
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