東野圭吾さんのベストセラー小説を映画化した『ナミヤ雑貨店の奇蹟』で、味わい深い雑貨店の店主を演じている西田敏行さん。しばらく療養中でしたが、このたび笑顔で元気にインタビューに応えてくださいました。
いま演じてみたい人は誰ですか?
―何か健康のためになさっていることはありますか?
西田 頸椎を痛める前は、かなりアンニュイな生活をしていましたが(笑)、痛めてからは運動に目覚めました。こんなにいいものなのかと。やるたびに体が元に戻ってくるのがわかるんです。いまはできる限りジムに通っています。あとは栄養があるものをいただくことですね。この映画の撮影中も豊後高田においしい焼肉店さんがあって、大量にいただきました(笑)。おいしいな~と思いながら食べるのがいいんでしょうね。ちゃんと滋養になって、翌日のエネルギーが生まれますから。
―では今後、演じてみたい役柄はありますか?
西田 田中角栄さんですね。あの時代の政治家ならではの清濁併せ飲んだ政治力と自信。お会いできるなら、政治家としての理念を聞いてみたいですね。血液型も同じB型で、根底に人間が好きという思いがあるのを感じるんですよ。日中の国交が回復した際の周恩来とのやりとりだけを抽出して2時間ぐらいのドラマにしても面白いななんて思っています。
―最後に、西田さんからご覧になった本作のご感想をお聞かせ下さい。
西田 時間がたつのを忘れました。観始めたら、あっという間でしたね。一人一人のエピソードがとても優しくて、温かな目で見つめているから、後味がとてもいいんです。人間は愚かなところもたくさんあるけれど、やはりいとおしいなと。改めて人間はいいなぁと思いました。自分が出ている映画なのに、思わず泣いてしまいました(笑)
―ナミヤ雑貨店を通じて、多くの人物といくつかのエピソードが絶妙につながっていきます。
西田 エンターテインメントなんだけど、しっかりと志のある映画ですよね。それも声高に何かを訴えるのではなく、柔らかいトーンで心に染み込んでくる。実は今回、僕は手紙を通じての交流でしたので、ほとんどの役者さんと絡んでいません。それにもかかわらず、全員と芝居で渡り合った気がしているんですよ。なんというか作品を観ながら、全員がとてもいとおしく思えてきて。そんな気持ちで作品を拝見できるというのは稀有(けう)なことだなと思います。廣木隆一監督とは同郷ですが、いつか僕と組みたいと思っていたと言ってくださって、それもうれしかったですね。僕がこんな言い方をするのも何ですが、完成した作品を観ながら、皆をハグしたい!みたいな気持ちになりました(笑)。
サインをお願いすると、インタビューに答えながら、サプライズですてきな絵まで描いてくださいました。緑色はナミヤ雑貨店にちなんだカラー。西田さんのサービス精神に触れたひと時でした。
取材・文/多賀谷浩子 撮影/Jun Uematsu(西田敏行)
西田敏行(にしだ・としゆき)
1947年生まれ、福島県出身。1970年に青年座に入団。テレビドラマ「西遊記」(78)や「池中玄太80キロ」(80)で爆発的な人気を呼ぶ。88年映画『釣りバカ日誌』に主演、22作まで続く人気シリーズとなる。この秋は映画『アウトレイジ 最終章』の公開が控えている。
『ナミヤ雑貨店の奇蹟』
9月23日(土・祝)全国公開
原作:東野圭吾『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川文庫刊)監督:廣木隆一 脚本:斉藤ひろし 出演:山田涼介、村上虹郎、寛 一郎、成海璃子、門脇麦、林遣都、萩原聖人、尾野真千子/西田敏行 主題歌:山下達郎「REBORN」(ワーナーミュージック・ジャパン)
配給:KADOKAWA、松竹
公式サイト:http://namiya-movie.jp/
2017年 日本 上映時間:129分