毎日の生活の中で大動脈をケアして「大動脈解離」を予防!

一般的に高血圧などの生活習慣病を抱える人は、心臓の血管が詰まる心筋梗塞のリスクが高いといわれます。でも、高血圧の人が注意しなければいけない病気には、大動脈解離もあるのをご存じでしょうか。著名人の急逝で大動脈解離が原因と報じられることがありますが、突然死にもつながる怖い病気です。帝京大学医学部附属病院心臓血管外科診療科長の下川智樹先生にお話しを伺いました。

前の記事「「大動脈解離」の原因は高血圧と動脈硬化。生活習慣の見直しを!(3)」はこちら。

 

今日からできる! 大動脈をいたわる生活習慣

体の中で最も太い血管である大動脈のケアは、高血圧や低血圧、乱れ血圧をしっかりコントロールすることから始まります。適正な血圧を維持するために、しっかり覚えておきましょう。

 

◆食事
(1)塩分は控えめに

1日1g塩分を少なくすることを目標に始めましょう。1g減らすごとに約1mmHgの血圧低下が期待できます(個人差あり)。

[減塩アイデア]
・卓上に調味料を置かない
・外食の回数を少しずつ減らしていく
・加工食品は成分表示を確かめて

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(2)ミネラルを積極的に摂取!

カリウム、カルシウム、マグネシウムといったミネラルは、摂取不足の場合、高血圧の原因となることが知られています。カリウムを多く摂ることにより3~4mmHg、カルシウムとマグネシウムは1~2mmHgの血圧低下が期待できます。

[ミネラルはどんな食品に多いの?]
・カリウムとマグネシウムは、野菜や果物、海藻、豆、ナッツなどに多く含まれる
・カルシウムは、牛乳や魚介類に多く含まれる


(3)アルコールは楽しく適度に

1日の摂取量の目安は、アルコール20mlです。
(ビール中びん1本、ワイン2杯、日本酒1合程度。体重の軽い女性の場合は、これよりも少なめに)

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◆運動
ウオーキング、水泳、サイクリングなど

運動の強度は、1分間の脈拍数を下の数式を目安に設定します。

138―(自分の年齢÷2)

この数式に当てはまる程度の運動を行います(1日あたり)。

運動の回数は、1回60分、週3回
または1回30分、週5~6回

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効果は4週目ごろから表れます。収縮期血圧、拡張期血圧ともに、数mmHgから10mmHg下がると報告されています。

メタボリックシンドローム気味の人は、体重を1kg減らすと1~2mmHgの血圧低下が期待できます。減量によって糖・脂質代謝も改善するので、心血管系リスクの軽減に効果的です。体重を減らすにはエネルギーの摂取と消費のバランスをマイナスにする必要があり、食事のカロリー制限が主体となります。運動によって消費エネルギーを増やすことも重要で、両方を組み合わせるとさらに効果が期待できます

 

 
◆血圧測定

自宅で計測する家庭血圧は、朝(起床後から朝食前)と夜(夕食2時間後から就寝前)に測定するのが理想的です。病院で測定すると緊張したりして、正しい血圧を測定できないことが多いため、家庭血圧をしっかり把握しておくことが望ましいのです。

朝は、排尿後に座って静かにして測りましょう。測定時は腕帯(カフ)を心臓の高さに保つようにします。1回でもかまいませんが、できれば2、3回測る方がよいでしょう。血圧は毎日測って記録するのが望ましいのですが、厳密である必要はありません。時々でもいいから測ることが重要なのです。めまいや頭痛などの自覚症状があるときには適宜追加して測定しましょう。血圧は常に変動していますから、数値にあまり神経質にならないようにしてください。

・家庭での血圧測定の習慣を!
・朝食前と就寝前など、一定の時間帯に規則的に測る
・めまいなどの症状があるときは追加測定を

・血圧の値にあまり一喜一憂しない
・血圧の値によって自分勝手に薬を調節しない
・血圧のコントロールのために、家族全員の血圧測定を

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◆薬による治療

降圧薬による治療が高血圧の患者の血管や心臓を守り、死亡率も減らすことは明らかです。薬は副作用が怖いとか、ずっと飲まないといけないので嫌だ、という気持ちも分かりますが、薬を飲まずに放っておく方がもっと危険です。降圧薬には多くの種類があり、患者の病状によっていくらか向き不向きがありますが、血圧を下げること自体が重要です。医師と相談して、適切な薬を服用しましょう。

 

 

◆必ず禁煙

たばこを1本吸うたびに血圧は10~20mmHg上がります(個人差あり)。

 

 

◆ストレス対策

リラックスすることで交感神経優位の緊張状態が取れて、血圧が下がるため、ストレスの対策を。

構成/高谷優一 取材・文/安達純子

<教えてくれた人>
下川智樹(しもかわ・ともき)先生

帝京大学医学部附属病院心臓血管外科診療科長、主任教授。佐賀医科大学卒。榊原記念病院心臓血管外科医長などを経て2009年より現職。心臓血管外科専門医・修練責任者でもあり、心臓大動脈手術を多数手がけ、最先端のロボット支援下手術も行う。

この記事は『毎日が発見』2018年4月号に掲載の情報です。
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