ウォーキングは現代人にとって、とてもいい運動です。しかし、歩けば歩くほどいいというわけではありません。さまざまな健康法がブームになりますが、何を信じればいいのでしょうか?
あと2000歩ウォーキング
1日1万2000歩以上は効果が頭打ちになるといわれています。中高年では、1日8000歩で十分でしょう。日常生活で活発に動く人はすでに5000~6000歩動いているので、あと2000歩だけ意識してウォーキングをしてみましょう。歩数計がなければ、1日トータル20分のウォーキングでも大丈夫です。
1時間に2分体を動かす
米国ユタ大学の研究では、1時間ごとに2分間、歩いたり、掃除をしたりして体を動かすだけで、死亡リスクが33%も低下するといわれています。2分間を1日10回行えば、20分間のウォーキングをしたことになります。
三日坊主にならないためには、運動を生活の中にうまく組み込むのがポイントです。
貯筋のためにもっとたんぱく質を
お金は大事ですが、お金に振り回されないことです。貯金よりも、貯筋が大事です。
筋肉は運動とたんぱく質によって増強します。肉や魚、チーズ、大豆などを摂りながら、運動をしましょう。体重を無理に落とすのではなく、いまの体重を維持するつもりで運動をします。それを続けているうちに、皮下脂肪が筋肉に変わり、やせやすい体に変わっていきます。そうやってぼくは、半年間で8㎏やせました。
運動で筋肉を動かすと、筋肉からマイオカインという物質が出て、血圧や血糖値を下げたり、がんのリスクを減らしてくれるといわれています。
運動はロコモティブシンドロームの予防にもなります。ロコモは、骨や筋肉、関節などの運動器に障害が起こり、立つ、歩くなどの機能が低下してしまう状態です。変形性膝関節症や腰痛症、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)、筋肉の虚弱が引き金になるといわれています。
このロコモの疑いのある人は40歳以上で4700万人と推測されています。骨の健康のためには、たんぱく質とカルシウム、ビタミンDを摂って、太陽に約20分間、当たりましょう。
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鎌田 實(かまた・みのる)さん
1948 年生まれ。医師、作家、東京医科歯科大学臨床教授。チェルノブイリ、イラクへの医療支援、東日本大震災被災地支援などに取り組んでいる。最新刊は『だまされない』(1,400 円+税、KADOKAWA)