人間関係、失敗、病気、心配事......生きていれば必ず起こるあらゆるツライことを「上手に消す」心の習慣とは? それは「これも修行のうち」と捉えてみること。
「不安」も「怒り」もすべて妄想だったと気づけるプチ修行の方法を本書『これも修行のうち。』から学びましょう。
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前の記事「「今怒っているな...」自分の心の状態を言葉で確認して心を整理整頓!/これも修行のうち。(9)」はこちら。
電車禅&外歩き禅でメンタルリセット
駅のプラットホームや電車の中、家を出てから帰るまでの間に、少し時間が空くことがありますね。そのときこそ、サティの修行のチャンスです。(1)足の裏、(2)腹部のふくらみ・ちぢみの感覚に、意識を向けます。または、(3)心の状態(ストレス・不満や妄想など)を言葉で確認します。
スキマ時間には「ついスマホ」が最近の定番ですが、「心の指さし確認」を忘れると「テキトー反応」に流れて、心は拡散してしまいます。結果としてアタマはボンヤリ、モヤモヤ、ザワザワして、心の能力が極度に低下します。
反応は、散らさず増やさず、リセットすることが基本です。せめて移動時間は、感覚に意識を向けましょう。そして、さっぱりした心の状態に戻ることです。
心を尽くして「家事」
家事や雑事も、心がけしだいで「心のクリーニング」に使えます。要は「意識を感覚に向ける」という発想。これさえあって、体を動かす作業であれば、なんでもOKです。
たとえば、デスクの片づけ、ファイルの整理、部屋の掃除機がけ、料理作り、食器洗い、お風呂洗いなど。コツは〝いっときに、心を尽くして、ていねいに〟やることです。
人間は「あまり生産性のないこと」をやりたがらないものですが、発想を切り替えれば、おトクな効果が見えてきます。「作業は、心をきれいにする(磨く)もの」と考えるのです。
最近は「お掃除ロボット」なるものも人気だそうですが、たまには掃除を「心のクリーニング」に活かしましょう(ガチ掃除)。"気づき"ながらやれば、掃除ひとつで心はピカピカになります。部屋もきれいになるし、一石二鳥ではありませんか。
「温度の落差」に感動してみる
気づき(サティ)による心の浄化は、体の感覚に「集中する」以外に、「感覚の落差にあえて反応する」方法でも可能です。
たとえば、冬に室内で仕事してちょっと疲れを感じたら、「上着を着ないで」一度外に出ます。めっちゃ寒いです。「寒い、寒いぃ」と感覚で反応します。その間に、疲れや雑念を振るい落とします。そして室内に戻って「はァ、あったかい。幸せ......」と実感します。
夏なら、「暑いよー」とうだっていないで、むしろ小走りして「暑いで、暑いでぇ(なぜか関西弁)」と暑さを噛みしめ、そこからクーラーの効いたコンビニやオフィスビルに飛び込んで、「おお、涼しい。むっちゃ幸せやん......」と感動します。
実際、坊主頭の私は、このプチ修行を日々実践しています。夏はコンビニの棚に頭を近づけ、冬はニット帽でぬくもりを感じて、心をクリーンに保ち続けています(?)。
近くの銭湯で「若返る」
月に一度や週末など、特に疲れが溜まったときは、ぜひ「銭湯」に行きましょう。
銭湯の湯温は高めなので、HSP(ヒートショック・プロテイン)を体内に作ってくれるとか。そしてこれが、疲労回復、美肌&ダイエット効果、免疫力や新陳代謝を高め、ストレスで傷ついた細胞を修復してくれるとか。さらに熱い湯の中で、体の感覚に意識を向ければ、心を浄化することにも、すこぶる役立ちます。
さっそく職場の周り、あるいは自宅近くの銭湯をチェックして、行ってみましょう。小さなストレスや雑反応は、熱い湯に浸かるだけで、きれいに取れてしまうものです。
僧侶、興道の里代表。1969年、奈良県生まれ。中学中退後、16歳で家出・上京。放浪ののち、大検(高認)を経て東大法学部卒業。現在、インドで仏教徒とともに社会改善NGOと幼稚園を運営するほか、日本では宗派に属さず、実用的な仏教の「本質」を、仕事や人間関係、生き方全般にわたって伝える活動をしている。著書に『悩んで動けない人が一歩踏み出せる方法』(WAVE出版)、『独学でも東大に行けた超合理的勉強法』(サンマーク出版)、『消したくても消えない「雑念」がスーッと消える本』(大和出版)がある。
(草薙龍瞬/ KADOKAWA)
人間関係、失敗、病気、心配事......あらゆるツライことを「上手に消す」心の習慣があります。それは、「これも修行のうち」と捉えてみること。イヤなことは「自分を磨く」ツールになる。ベストセラー『反応しない練習』の著者が教える、日常生活、仕事で使えるプチ修行50!