皮膚は体を包む一番外側の膜。皮膚に異常が表れるのは体の内側、内臓や循環器に原因があることが多いものです。ですから、皮膚を診ることは体の内側を診ることになります。皮膚はシワ、シミ、たるみ、薄毛に関係してくるので、内側の治療と合わせて顔の形成面でも治療が可能です。皮膚科は進歩しています。旭川皮フ形成外科クリニック院長の水野寿子先生は、シワやシミで落ち込んだりするより、それを医学的に治して明るく生きられることをおすすめしています。
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Q1. 敷居が高く感じられてしまう美容皮膚科、どんなふうに受診したらいいのでしょう。
水野 「なんとなく老けて見えるので、どうにかしたいのですが」というような大きい括りで来てくださればいいのです。何が悩みなのか、どういうことが望みなのか、優先順位はどこか、当然ながら悩みの深さによって施術も違ってきます。初めに丁寧に問診して診療のやり方をご提案していきます。
患者さんの悩みはそれぞれです。このくらいは、ということはなく本人がどの程度悩んでいるかは一人ひとりで全く異なります。例えば、なんとなくぼうっとする、よく眠れるようになって肌のハリ、ツヤを良くしたい、全体的に若く見えるようになりたい、シミ、シワをなくしたい、などさまざまです。
漠然と、何をしたらいいのかわからないとか、疲れやすく肌もハリがない、自信が持てなくて、やる気が起きないなどで、30代から40代の方も多く来院されます。調べてみると、貧血がひどい。これでは肌も乾燥するのは当たり前です、栄養が足りていないのですから。つまり、原因の根は、体の中にあるのです。
例えば花粉症。鼻から症状が出る人は耳鼻科に行きますね、咳とか喘息になってしまう人は内科に行きます。肌が荒れる人は皮膚科に行くし、目に表れる人は眼科に行く。アレルギー症状を起こすベースに何かがあるのだから、そこから治療しましょう、ということになると思います。対症療法はそれぞれの専門で異なりますが、根本的な治療は一緒なんです。肌の調子が悪いかな、という感覚で気軽に美容皮膚科にも来院されたらいいと思います。
Q2. 体の内側と外側から必要な治療を行う、アンチエイジングとはどういうものですか?
水野 治療の方向は大きく分けて二つあります。内側のホルモンや栄養バランスから治療するか、外側の見た目からの治療をするのか、です。両方を行うことで、より効果的な統合美容医療になります。
内側の治療の指針として血液検査で栄養バランスとホルモンの数値を調べます。例えば、だんだん年を取ってくると、男性ホルモンが少なくなって来るので頭の働きが鈍ってきます。皮膚のトラブルをきっかけにして、栄養状態、ホルモンバランス、甲状腺の値が下がっていないか、などを診て点滴や注射、飲み薬やサプリメントを処方して適切に治療します。
外側からの治療では、さらに骨格などの物理的要素から施術するか、質感改善から施術するか、二つに分かれます。最終的に両方が必要な場合もありますが、どちらのアプローチを好むか、によって治療方法が変わってきます。
物理的要素からの代表的な施術では、"物"を入れてかさ高にする方法があります。ヒアルロン酸を注入して凹んだ箇所を上げる、糸で引っ張る、また、脂肪を燃焼しやすい脂肪酸にする注射も最近は出ているので、それらを組み合わせていくことができます。質的アプローチは、レーザーや薬剤で肌に"傷"をつけ、皮膚の治癒力によって肌を活性化させる方法です。傷をつけることでそれを修復するための皮膚機能を働かせる。これが美容療法の基本です。傷をつけ、損傷治癒能力を働かせて肌の再生に導いていくのです。つまりサボっていた肌にピシッと鞭を打って働かせるわけです。治療の成果には個人差があります。治癒力はその人の栄養状態、ホルモン状態が大きく関わるからです。つまり、外側からの治療成果も内側の状態に左右されることが多いのです。
Q3. 年を取ったらしかたない、でも、あきらめたくないのですが。
水野 まず、何となく元気がない、もう少しきれいになりたい、と思うときに美容皮膚科を受診してみてください。年を取ったらしかたない、そんな考えはやめましょう。受診してみて、相性がいい、悪いがあると思います。話しやすい、悩みをわかってくれる、というのは、問診をする上で重要な要素です。治療の方法が、自分の好きな感覚に近いか、ということでもあります。クリニックによって多少メニューは違いますが、保険診療内では料金は同じです。保険外では料金はさまざまですが、事前によく相談してください。
まずは、美容院へ行く感覚で気軽に行ってみてください。美容のかかりつけ医を見つけてみてはいかがでしょう?
構成・文/関内オフィス
水野寿子(みずの・ひさこ)先生
医学博士。旭川皮フ形成外科クリニック院長。旭川医科大学を卒業後、北里大学形成外科に入局し、外科や救急・麻酔科などを経験。美容クリニックでの勤務を経て、2003年、女性のさまざまな悩みをトータルに診療できる品川イーストワンスキンクリニックを開業。惜しまれつつ2015年3月、同クリニックを閉院。両親の介護のため北海道・旭川に拠点を移す。日本形成外科学会認定医。美容外科学会会員。美容外科医師会会員。美容医療協会会員。
問:旭川皮フ形成外科クリニック 0166-74-8921