寿命を縮め、健康寿命も短くし、心血管病(心臓病や脳卒中)を2.5倍も起こしやすくする「低栄養」。食欲不振を放置せず、バランスのよい食事を意識しながら、生活習慣を見直しましょう。
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低栄養にならない生活習慣
1 食のキーワードは「多様食」
「多様食」とは、同じ分量でも、種類が豊富で栄養素がぎっしり詰まった食事のことです。低栄養で不足しがちな栄養素は、いろいろな食材を食ることで解消することが理想といえます。その目安にすべく、東京都健康長寿医療センター研究所が作成したのが、食に関するガイドライン「食品摂取の多様性スコア(DVS)」です。10種類の食品群を対象に、毎日摂っているかどうかをチェックします。このスコアが高い人ほど健康長寿につながります。
<食品摂取の多様性スコア>
多様性スコアは10項目・各1点で算出します。お肉を食べたら1点、お肉と野菜炒めを食べたら2点といった方法です(スコアの(10)はバターや油を使う料理のこと)。1日に9点以上ある人は生活機能が低下する危険度も低いことが明らかにされています。
(1)肉 点
(2)魚介類 点
(3)卵 点
(4)大豆・大豆製品 点
(5)牛乳・乳製品 点
(6)緑黄色野菜 点
(7)海藻類 点
(8)いも 点
(9)果物 点
(10)油を使った料理 点
あなたの合計点は? 点
2 家の中でもできる筋トレをしよう!
低栄養で衰えた筋力の強化のためには、筋トレが重要になります。スクワットは下半身の筋肉を鍛えるのに効果的です。主に大殿筋(お尻の筋肉)、大腿四頭筋(太もも前面の筋肉)を鍛えます。両足を開いて腰に手を当て、5秒かけてゆっくり腰をかがめて元に戻します。10回1セットで1日3セットが目安です。無理のない範囲で行いましょう。
<スクワットのポイント>
●背中は床に垂直に上下する
●ひざを90度くらいに曲げた位置まで腰を下後方に下ろす
3 とにかく出かけよう! 買い物も通院も立派な外出です
足腰が悪くても1日1回以上外出する人は、そうでない人に比べて足腰の悪さを回復しやすいことが、新開先生の研究で分かりました。外出は脳も活性化させます。外出の目的にかかわらず、買い物でも通院でも、心身に良い影響を与えるのです。とにかく毎日お出掛けしましょう!
新開省二(しんかい・しょうじ)先生
東京都健康長寿医療センター研究所副所長。医師・医学博士。日本老年医学会や日本公衆衛生学会などの評議員、厚労省「健康日本21(第2次)策定専門委員会」委員などを歴任。