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健康であるためにはどうしたらいいのか? セルフメディケーションの時代と言われる今、私たちもそれなりの健康常識は身につけておく必要があります。
病気というものをどうとらえるか、医者との付き合い方、 病気にならない考え方――。ほかにも、食事の摂り方、ストレスの対処の仕方、あるいはダイエットを成功させるコツな ど、明るく元気に毎日を過ごしてもらえる有益な情報を連載でお届けします。今の生活をもう一度見直し、自己治癒力を高めるスキルを学びませんか?
生真面目、完璧主義から卒業しよう
私見ですが、がん患者さんのなかでも、とくに悪性リンパ腫、乳がん、肺がんの方の多くは、どちらかと言えば、自分よりも他人(家族、会社、社会など)のために生きてこられたという印象を受けます。責任感や忍耐力が強く、完璧主義の方が多いのですが、それが慢性的なストレス負荷となることは容易に想像できますし、また、ほとんどのケースでそれに符合するエピソードがあります。
自己治癒力を高める、もう1つの大切な感覚が〝いい加減さ(SOSO)〞です。
僕たちががん患者さんに対してアドバイスしている生活習慣について、まったく無視した患者さんの予後は非常に悪いものですが、逆に、すべてを生真面目に徹底したからといって予後がいいかと言うと、そうでもないのです。
多くの方にとって、厳格な生活習慣の是正はストレスになるようです。そのため、6〜7割程度の達成度を目安にしたところ、ほぼすべての方に改善が見られるようになりました。
そもそも、がんになる方の性向を見てみますと、ほとんどが、何事も生真面目に取り組み、完璧にそして徹底的に、とことんやらないと気がすまないタイプの人たち、つまり、いい加減さを知らない人たちです。その姿勢はとても立派ですが、往々にしてがんになりやすく、そして治りにくいのです。
40歳を過ぎたら、若いころのように嫌なことを我慢してがんばらないことです。
そして何事もいい加減さを覚え、あまり厳格さや完璧さを徹底して追求しないようにしましょう。義理も少しは欠いてもいいでしょう。いい人になってはいけませんし、周りがあなたをどう思っているかも気にしないほうがいいのです。
そして自分を優先し、できるかぎり自分の好きなことをやる工夫をすることです。
何事もいい加減に、そして自分の好きなことをやるように心がけることが、ストレス負荷を軽減し、自己治癒力を高めることになるのです。
岡本 裕先生(おかもと・ゆたか)
1957年大阪生まれ。e-クリニック医師。大阪大学医学部、同大学院卒業。卒業後12年あまり、大学病院、市中病院、大阪大学細胞工学センターにて、主として悪性腫瘍(がん)の臨床、研究にいそしむ。著書に『9割の病気は自分で治せる』『9割の病気は自分で治せる2【病院とのつき合い方編】』『9割の病気は自分で治せる【ストレスとのつき合い方編】』(以上、KADOKAWA)、『22世紀。病院がなくなる日』(飛鳥新社)など多数。
「カラー版 図解 9割の病気は自分で治せる」
(岡本 裕/KADOKAWA)
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