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健康であるためにはどうしたらいいのか? セルフメディケーションの時代と言われる今、私たちもそれなりの健康常識は身につけておく必要があります。
病気というものをどうとらえるか、医者との付き合い方、 病気にならない考え方――。ほかにも、食事の摂り方、ストレスの対処の仕方、あるいはダイエットを成功させるコツな ど、明るく元気に毎日を過ごしてもらえる有益な情報を連載でお届けします。今の生活をもう一度見直し、自己治癒力を高めるスキルを学びませんか?
健康維持のために糖分の取り過ぎには十分な注意を
僕はときどきハイキングに出かけます。のんびり歩くので、そんなに疲れないはずですが、それでも途中で何か食べたくなります。そんなとき頭に浮かぶのはごはんやパンなどではなく、チョコレートや甘い飲み物など砂糖を使った食べ物です。なぜなら、砂糖(ショ糖)はブドウ糖(グルコース)と果糖(フルクトース)が結合した二糖類で、消化吸収が早く、体内ですぐにエネルギーに変換されるからです。
砂糖はカルシウムを奪うという説が1930年代に唱えられ、今も一部でまことしやかにささやかれていますが、この説は栄養学の世界では完全に否定されています。逆に、カルシウムの吸収をうながすという実験データがあるほどです。
サトウキビや甜菜(ビート)から作られる砂糖は、奈良時代に鑑真が唐から持ってきて伝えられたとも言われています。かつては薬として珍重されていましたが、現在ではダイエットの敵として敬遠されがちです。香川県や徳島県の特産品として知られる和三盆や、沖縄や奄美大島の黒糖は、それぞれ独特の風味があり、とてもおいしいのですが......。
糖分の摂取で問題になるのは、やはり「摂り過ぎ」です。エネルギーとして消費されなかったぶんは、体脂肪として蓄積されてしまいます。果物の甘みは果糖(フルクトース)によるものであり、こちらも摂りすぎると肥満につながるのは同じです。
もう1つ注意が必要なものとして、コーンスターチなどのでんぷんから作られた異性化糖があります。清涼飲料水などに使われている、「ブドウ糖果糖液糖」です。
糖質は、最終的には単糖類のブドウ糖(グルコース)にまで分解されます。がん細胞はブドウ糖をエネルギー源にして増殖しますから、食事療法を実践している「e-クリニック」のサバイバーのみなさんは、スイーツ類はもちろんのこと、砂糖が含まれる食べ物をほとんど口にしないのです。
肥満が健康の大敵であることは言うまでもありませんが、肥満の原因となりやすい甘い食べ物は、がん細胞の栄養源にもなるのだと知っておいてください。
岡本 裕先生(おかもと・ゆたか)
1957年大阪生まれ。e-クリニック医師。大阪大学医学部、同大学院卒業。卒業後12年あまり、大学病院、市中病院、大阪大学細胞工学センターにて、主として悪性腫瘍(がん)の臨床、研究にいそしむ。著書に『9割の病気は自分で治せる』『9割の病気は自分で治せる2【病院とのつき合い方編】』『9割の病気は自分で治せる【ストレスとのつき合い方編】』(以上、KADOKAWA)、『22世紀。病院がなくなる日』(飛鳥新社)など多数。
「カラー版 図解 9割の病気は自分で治せる」
(岡本 裕/KADOKAWA)
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